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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
これまで、大きな皮膚欠損には軸性皮弁、中程度の欠損には回転皮弁や転移皮弁、小さな欠損には前進皮弁、という印象を持っていました。
ただ、中程度の欠損で使う回転皮弁は、欠損の3~4倍程度の長い切開が必要になることがあります。転移皮弁は、欠損を覆えても、皮弁を移動した後の採皮部をどう閉鎖するかが気になります。
→ 皮膚フラップの設計を考える
その問題を解決する方法の一つが、今回のReading Man Flap(RMF)ではないかと思いました。
RMFは、非対称のZ形成術を応用した皮弁です。第1皮弁で円形欠損を覆い、第2皮弁で第1皮弁の採皮部を覆います。2方向から皮膚を移動させることで、張力を分散する設計です。
具体的には、円弧に沿った円の直径の1.5倍(他の論文では2倍)の線を引き、60度の角とした四角形のフラップとする(第1のフラップ)。第2のフラップは、第一のフラップの起始点から45度の三角形。説明が上手くないので図を。

縦の欠損を横方向で補う。
今回の論文では犬4例が報告されています。
症例1と2は、最初に別の方法で閉鎖したものの創離開が発生し、RMFで再建した症例です。症例3と4は、腫瘍切除時からRMFを使用しています。
4例とも最終的には良好な結果が得られ、皮弁壊死や新たな術後感染は認められませんでした。ただし、部分的な創離開が1例、漿液腫が2例に発生しています。
RMFは2008年にヒトで報告された術式で、特別に新しい方法ではありません。しかし、犬では臨床報告がほとんどありませんでした。
症例数が4例と少なく、ほかの皮弁との比較もないため、RMFの優位性を証明した論文ではありません。研究としての新規性も限定的で、掲載誌がBMC Veterinary Researchになったのは、そうした事情もあるのかもしれません。
ただ、臨床的には興味深い術式です。
回転皮弁の長い切開や、転移皮弁の採皮部閉鎖が気になる場合に、RMFという別の選択肢があることを知れたのは収穫でした。
ガイドラインではありませんが、有用でしたので。
m(_ _)m
追記。V-Y回転前進やbilobed flap に似ていますが、こちらの方が簡単かな。V-Yは頂点の三角形を書いてから線を引く、bilobedは鋭角の三角が不安。
音符(note flap)、Z形成とも似ていますがこちらは転移皮弁なのでひきつれが気になる・・・。
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▼ 関連項目
→ 皮膚フラップの設計を考える
