International Veterinary Epilepsy Task Force consensus proposal: medical treatment of canine epilepsy in Europe (2015)を読んで

犬のてんかん治療について、「いつ治療を始めるか」「どの薬を選ぶか」「いつ追加・変更するか」を整理したコンセンサスです。ヨーロッパの状況なので、日本とはちょっと違うようです。

▼ 現在地:ガイドラインを読む > 本記事

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

<h2>6か月以内に2回以上の発作で、長期治療を考える

特発性てんかんでは、明確なエビデンスだけで治療開始時期を決めることは難しいものの、このコンセンサスでは、

6か月以内に2回以上の発作がある

場合を、長期の抗発作薬治療を開始する一つの基準としています。

また、発作回数が少なくても、群発発作やてんかん重積状態がある場合、発作後の攻撃性や失明などが重度または24時間以上持続する場合、発作頻度・持続時間・重症度が徐々に悪化している場合にも治療開始を勧めています。

つまり、「月に何回」という単純な回数だけでなく、発作の重症度や経過も含めて判断します。

フェノバルビタールはエビデンスが強い

フェノバルビタールは、犬の特発性てんかんに対する単剤治療として、当時もっともエビデンスの強い薬の一つです。

治療域の血中濃度を維持した場合、約60~93%の犬で発作頻度が減少したと報告されています。

さらに臭化物との比較試験では、6か月間発作がなかった犬は、

フェノバルビタール:85%
臭化物:52%

で、フェノバルビタールの方が良好な発作コントロールを示しました。

一方で、鎮静、運動失調、多飲多尿、多食、肝酵素誘導、薬物相互作用などがあり、血中濃度や血液検査によるモニタリングが重要です。

発作が1~2年間なければ、減薬を検討できる

特発性てんかんは生涯にわたって抗発作薬が必要になることが多いものの、犬でも寛解は起こります。

このコンセンサスでは、

少なくとも1~2年間、発作なし

であれば、抗発作薬を徐々に減らすことを検討してよいとしています。

ただし、減薬中や中止後に再発する可能性があります。

そのため急に中止せず、

1か月あたり20%以下ずつ減量する

ことが推奨されています。これは離脱発作やてんかん重積状態を避けるためです。

このコンセンサスを読むと、犬のてんかん治療は「発作が出たら薬を飲ませる」というより、

治療開始のタイミングを決める
→ 長期的に発作をコントロールする
→ 十分長く発作がなければ慎重に減薬する

という長期管理として考えることが重要だと分かります。

▼ ガイドラインを読む に戻る

友だち追加 友だち追加 開院準備を更新中! 開院準備を更新中!
上部へスクロール