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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
敗血症の定義が変わった
今回もっとも大きな変更は、敗血症の定義です。
従来は、
感染+SIRS=敗血症
と考えられてきました。
しかし今回のコンセンサスでは、
感染+臓器障害=敗血症
へと考え方が変わりました。
感染があるだけでは敗血症ではなく、感染に対する宿主反応の調節異常によって臓器障害が生じていることが必要です。
SIRS(Systemic Inflammatory Response Syndrome:全身性炎症反応症候群)は、敗血症診断には必須ではないとされています。
臓器障害を探す
今回のコンセンサスでは、敗血症を疑う感染症患者では、臓器障害を評価することが重要とされています。
中枢神経、循環器、呼吸器、腎臓、肝臓、凝固系、代謝・内分泌、消化管などについて、臓器障害を疑う具体的な所見が列記されています。
たとえば、
乳酸 >2 mmol/L
尿量 <1 mL/kg/hが6時間以上
48時間以内のクレアチニン0.3 mg/dL以上の上昇
ビリルビン >0.5 mg/dL
血小板 <10万/µL、または50%以上の急激な低下
などが挙げられており、臨床でかなり参考になります。
可能ならAPPLEなどで重症度を客観化する
臓器障害だけでなく、可能であれば、
APPLE(Acute Patient Physiologic and Laboratory Evaluation:急性患者生理・検査評価)
などの検証された重症度スコアを用いて、患者の状態を客観化することが推奨されています。
乳酸は経時的に測定する
感染症患者では、心拍数、呼吸数、体温、意識状態、血圧に加えて、乳酸を来院時と入院中に繰り返し測定することが提案されています。
特に乳酸は、1回の値だけでなく、治療後に低下しているかどうかを見ることが重要です。持続的な高乳酸血症は死亡との関連が報告されています。
心エコーも敗血症評価に期待できる
敗血症では心収縮能や拡張能が低下することがあり、心エコーによる心筋機能評価も、臓器障害を見つける補助検査として期待されています。
心エコーは非侵襲的で繰り返し評価できる点も利点です。
この論文を一言でまとめるなら、
「敗血症では炎症の強さではなく、感染によって臓器が障害されていないかを見る」
ですね。
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