犬の熱中症に、「この気温までは絶対に安全」という基準はありません。危険性は、気温だけでなく、湿度、日差し、風、運動量、路面温度、犬種や体調によって大きく変わります。
散歩を判断する安全寄りの目安としては、気温25℃を超えたら日差しや湿度に注意し、28℃を超えたら日中の散歩を避けると考えると分かりやすいでしょう。ただし、これはすべての犬に共通する医学的な境界線ではありません。
気温だけでは判断できません
犬は人のように全身から汗をかいて体温を下げることができません。主に、口を開けて浅く速く呼吸する「パンティング」によって熱を逃がしています。
湿度が高い日は、舌や気道から水分が蒸発しにくくなり、パンティングによる放熱効率が低下します。そのため、気温25℃前後でも、蒸し暑い日、日差しが強い日、風が弱い日には熱中症が起こることがあります。
さらに散歩中は、筋肉を動かすことで体内にも熱が作られます。犬の熱関連疾患は、暑い車内だけでなく、散歩や運動をきっかけに起こる例が多いことが報告されています。
散歩の目安
25℃未満
気温だけで散歩可能とは判断せず、湿度、日差し、風、路面温度、犬の体調を確認します。蒸し暑い日や短頭種、高齢犬では、早朝や夜の短時間にします。
25~28℃
日差しのある日中を避け、早朝または路面が十分に冷えた夜に短時間歩きます。激しい運動は行いません。
28~31℃
日中の散歩は避けます。排泄が必要な場合は、日陰や土の上を選び、ごく短時間にとどめます。
31℃以上
屋外での運動は避けます。必要最小限の外出以外は、冷房の効いた室内で過ごします。
これらは安全を保証する数値ではありません。短頭種、肥満犬、高齢犬、心臓病や呼吸器疾患がある犬では、さらに低い気温でも中止する判断が必要です。短頭種は、他の犬より熱関連疾患を起こしやすいことが疫学研究でも示されています。
耳を触るのも日常の目安になります
耳は血流が多いため、暑い室内、運動後、興奮時などには、普段より温かく感じることがあります。
耳を触って、いつもより明らかに熱いと感じたら、室温や愛犬の様子を確認し、冷房の効いた場所で休ませるきっかけにしましょう。
ただし、耳の温度だけでは体温や熱中症の有無は判断できません。激しいパンティング、よだれ、歩きたがらない、落ち着かない、反応が鈍いといった変化も合わせて確認します。熱中症では、皮膚が熱く感じる、嘔吐、よだれ、呼吸の増加、ふらつきなどがみられることがあります。
特に注意したい犬
フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種、高齢犬、子犬、肥満犬、被毛が厚い犬、心臓病や呼吸器疾患がある犬は、熱中症になりやすい傾向があります。
これらの犬では、一般的な目安より早い時間帯に散歩を切り上げ、暑い日は散歩を休む判断も必要です。
まとめ
犬を外へ出すか迷ったら、25℃を超えたら湿度と日差しに注意し、28℃を超えたら日中の散歩を避けることを、安全寄りの目安にしてください。
ただし、気温が低くても、高湿度、強い日差し、無風、激しい運動が重なると熱中症は起こります。
散歩前には、天気予報の気温だけでなく、路面の熱さと愛犬の様子を確認します。耳がいつもより熱いと感じた場合も、冷房を入れて休ませるきっかけにするとよいでしょう。
▼ 関連項目
→ 犬や猫の熱中症
→ 10kgの犬の体温が1℃上がるまで、何分?