犬が草を食べる行動は、多くの場合、病気や栄養不足を意味しません。ただし、有毒植物、薬剤が付着した草、草の穂による外傷には注意が必要です。
犬が草を食べるのは異常とは限らない
散歩中に犬が草を食べても、それだけで異嗜や胃腸病と判断する必要はありません。異嗜とは、石、布、ビニールなど、本来食べ物ではないものを繰り返し口にして飲み込む行動です。一方、少量の草を時々食べ、その後も元気、食欲、便に変化がなければ、探索や嗜好の一部と考えられます。
植物を食べる犬を対象にした調査では、68%が毎日または毎週植物を食べ、最も多く選ばれた植物は草でした。食べる前によく体調不良がみられた犬は9%、食べた後によく吐く犬は22%であり、「犬は吐くために草を食べる」とは限らないことが示されています。
空腹、草の匂いや食感、探索行動などが関係する可能性はありますが、食草の理由は一つに決められません。祖先から受け継いだ行動という説もありますが、寄生虫を追い出す目的で食べているとまでは証明されていません。
道端の草は食べさせないほうが安全
行動自体が正常でも、食べる草の安全性は別問題です。公園や道路脇の草には、除草剤や農薬、動物の排泄物などが付着している可能性があります。植物の種類や薬剤散布の有無が分からない場所では、食べさせないほうが安全です。
ツツジ、スイセン、ヒガンバナ、ソテツなど、犬に中毒を起こす植物もあります。有毒植物でなくても、植物を大量に食べることで嘔吐や下痢が起こることがあります。
また、イネ科植物の穂や芒は、口、鼻、目、耳、指の間などに刺さることがあります。食草後に激しいくしゃみが続く、片目を閉じる、頭を振る、口を気にするといった様子があれば、草の異物を疑って受診してください。
動物病院を受診する目安
草を少量食べた後も普段どおりであれば、まずは経過を見られます。ただし、嘔吐を繰り返す、血便や激しい下痢、強い腹痛、元気・食欲の低下、過度のよだれ、ふらつき、震え、けいれん、呼吸困難がある場合は、早めの受診が必要です。有毒植物や薬剤の付いた草を食べた可能性がある場合は、症状がなくても動物病院へ電話してください。
肛門から草が出ていても、無理に引っ張ってはいけません。自然に出ない、痛がる、何度も排便姿勢を取るのに便が出ない場合は、診察を受けましょう。
誤食したときは自己判断で吐かせない
食塩やオキシドールを使用し、自己判断で吐かせるのは危険です。食塩は催吐に使用すべきではなく、オキシドールも胃や食道の障害、誤嚥性肺炎を起こす可能性があるため、獣医師から指示された場合以外は使用しないでください。
植物の写真や現物、食べた時刻と量、薬剤の商品名を確認し、動物病院へ連絡します。草への執着が強い場合は、散歩や遊び、嗅覚を使う時間を増やし、リードで危険な草への接近を防ぐことが基本です。
▼ もう少し考えたい
→ 治療を迷っている方へ
▼ 相談してみたい
→ 腫瘍診療について
→ はじめての方へ