犬や猫がハチに刺されると、刺された場所の痛みや赤み、腫れが起こります。多くは局所の反応だけで治まりますが、まれに全身性の強いアレルギー反応である「アナフィラキシー」を起こすことがあります。
アナフィラキシーは、刺されてから数分~数十分で急速に進行し、命に関わる場合があります。過去にハチに刺されたことが確認できない動物でも起こる可能性があるため、「初めてだから大丈夫」とは判断できません。
犬と猫で異なる危険な症状
犬では、顔やまぶた、口の周囲が急に腫れる、全身にじんましんが出る、激しくかゆがるなどの症状がみられます。さらに、突然の嘔吐や下痢、よだれ、ぐったりして立てない、歯茎が白いといった症状は、血圧が低下している可能性がある危険なサインです。
猫では皮膚の腫れが目立たず、呼吸症状が前面に出ることがあります。口を開けて呼吸する、呼吸が速い、ゼーゼーする、よだれを流す、急に動かなくなる場合は緊急事態です。
犬でも猫でも、呼吸困難、繰り返す嘔吐や下痢、虚脱、意識低下が一つでもあれば、応急処置に時間をかけず、直ちに動物病院へ連絡してください。
また、口の中や舌を刺された場合、顔や喉の腫れが急速に強くなる場合、多数のハチに刺された場合も、症状が軽く見えても早めに連絡してください。
刺された直後の応急処置
まず、周囲にハチが残っている可能性があるため、安全な場所へ移動します。動物を興奮させたり、ハチを追い払おうとしてその場にとどまったりしないことが重要です。
ミツバチでは、皮膚に針と毒嚢が残ることがあります。針を見つけたら、カードなどで横から払い落とすか、毛抜きで速やかに取り除きます。除去方法にこだわって時間をかけるより、できるだけ早く取り除くことが大切です。ただし、被毛に隠れた針を無理に探して受診を遅らせてはいけません。
患部は水で軽く洗い、タオルで包んだ保冷剤などを短時間当てると、痛みや腫れを和らげられます。傷口を強く揉む、口で毒を吸う、尿やアンモニアをかけるといった処置は行わないでください。人用の抗ヒスタミン薬や痛み止めを自己判断で飲ませることも危険です。
動物病院で行う治療
アナフィラキシーでは、アドレナリンの投与、酸素吸入、静脈点滴などによって、呼吸と血圧を速やかに安定させます。抗ヒスタミン薬やステロイドを併用することもありますが、これらはアドレナリンの代わりにはなりません。
一度症状が改善しても、数時間後に再び悪化する可能性があります。そのため、重い症状があった場合は、院内での経過観察や入院が必要になることがあります。
ハチに刺された後は、顔の腫れだけでなく、嘔吐、下痢、呼吸の変化、元気の低下にも注意してください。症状が急速に進む場合は、夜間や休日であっても救急対応のできる動物病院へ向かいましょう。