犬が突然、首を前に伸ばして「ズーズー」「フガフガ」と激しく鼻から息を吸い込むことがあります。これは「逆くしゃみ」と呼ばれる反射運動です。
通常のくしゃみが、鼻の中の異物などを息とともに外へ出す動きであるのに対し、逆くしゃみでは口を閉じたまま、鼻から短く連続して空気を吸い込みます。見た目は苦しそうですが、多くは数秒から1分ほどで自然に治まり、直後には何事もなかったように普段の状態へ戻ります。
逆くしゃみは、鼻の奥から喉につながる「鼻咽頭」が刺激されることで起こる反射と考えられています。興奮したとき、食事や飲水の後、リードで首が圧迫されたとき、急な温度変化、花粉、ほこり、煙、香水やスプレーなどがきっかけになることがあります。短頭種や小型犬でよくみられますが、どの犬でも起こる可能性があります。
咳や気管虚脱との見分け方
逆くしゃみでは、口を閉じ、首を伸ばして「吸い込む音」が連続します。発作が終われば、呼吸や元気はすぐ正常に戻ります。
一方、咳は「カッ」「ケッ」と息を吐き出す動きで、口を開けることが多く、最後に痰を吐くような仕草をすることがあります。気管虚脱では、ガチョウの鳴き声に似た「ガーガー」という咳がみられ、興奮や運動、暑さ、首への圧迫で悪化する場合があります。音だけで区別することは難しいため、発作時の動画を撮影しておくと診察の手がかりになります。気管虚脱は特に小型犬で多くみられる慢性呼吸器疾患です。
動物病院を受診したほうがよい症状
たまに短時間起こるだけで、発作後の元気や食欲に問題がなければ、通常は慌てる必要はありません。ただし、次のような場合は、逆くしゃみに似た別の病気が隠れている可能性があります。
・以前より回数や持続時間が増えている
・中高齢になって初めて起こった
・鼻水、膿のような分泌物、鼻血を伴う
・咳や通常のくしゃみも続いている
・発作後も呼吸が苦しそう
・舌が紫色になる、倒れる、意識が低下する
・元気や食欲の低下、体重減少がある
頻発する逆くしゃみの背景には、鼻炎、鼻腔内異物、鼻ダニ、歯の病気、軟口蓋の異常、ポリープや腫瘍などが存在することがあります。必要に応じて、口や鼻の診察、レントゲン、CT、鼻腔鏡などで原因を調べます。
発作中は、無理に口を開けたり鼻を長時間ふさいだりせず、犬を落ち着かせて静かに見守りましょう。首輪による圧迫がきっかけになる場合は、胴輪への変更も検討します。呼吸困難や意識の異常がある場合は、逆くしゃみと決めつけず、直ちに動物病院へ連絡してください。
▼ もう少し考えたい
→ 治療を迷っている方へ
▼ 相談してみたい
→ 腫瘍診療について
→ はじめての方へ