犬猫の代表的な内分泌疾患についてまとめたガイドラインです。今回特に印象に残ったのは、検査値だけで診断するのではなく、臨床像をいくつかのグループに分けて考えるという方法でした。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
犬の甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症でも、20~40%ではTSHが上昇しないそうです。したがって、TSHが正常だからといって否定はできない。
また、「確実に甲状腺機能低下症らしい犬」「T4は低いけれど症状のない犬」「症状はあるのにT4が正常な犬」のように、臨床像をグループ分けして診断を進める。
T4が低いだけで甲状腺機能低下症と診断しない、ということですね。
クッシング症候群
クッシングの診断検査はどれも完全ではなく、ストレスや他疾患でも偽陽性が出ます。
そのため、クッシングを示唆する臨床所見や検査異常が2つ以上ある症例を検査するという考え方のようです。
また、トリロスタン治療では、ACTH刺激後コルチゾールと臨床症状の相関はあまりよくないとのこと。薬の調整は、検査値ではなく多飲多尿、多食、パンティングなどの症状を見ながら調整する。ACTH刺激試験は、むしろコルチゾールを下げすぎていないか確認する意味が大きいようです。
診断でも、
典型的なクッシング、検査異常だけある、症状は疑わしいが検査異常がない、ほかの病気で具合が悪い
というように4群に分けて考えます。
良い2×2マトリクスは、それ自体が「商品になる」と言われることがあります。この分類は厳密な2×2ではありませんが、それに近い発想で、以前よりずっと整理しやすいと感じました。
アジソン病
アジソン病というと低Na・高Kを思い浮かべますが、25~30%では電解質異常がないらしい。
この非定型アジソンは診断が難しく、
慢性的、間欠的、ストレスのあとに消化器症状などを繰り返す
という経過が手がかりになります。
電解質が正常でも、疑わしければ安静時コルチゾールを測定し、2 µg/dL未満ならACTH刺激試験へ進みます。
こちらも臨床症状と検査所見を組み合わせた、2×2マトリクスに近い分類が使われています。
猫の甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症を治療すると、それまで隠れていた腎機能低下が明らかになることがあります。ですから、治療前のSDMAが正常でも、治療後の腎機能を予測することはできないと言われています。
動物看護師も内分泌診療のチームの一員
最後にかなりページを使って説明されていたのが、チーム医療でした。
内分泌疾患では、飲水量、食欲、元気、症状の変化など、飼い主から聞き取る情報が診断や治療調整に重要です。そのため、動物看護師も問診や経過観察に積極的に参加します。
また、ストレスは内分泌検査そのものにも影響します。
検査値だけを見るのではなく、動物のストレスを減らし、飼い主からよく話を聞き、症状と検査結果を合わせて考える。
今回のガイドラインを通して、この考え方が一貫していたように思います。
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