ACVIM Consensus Statement on the management of status epilepticus and cluster seizures in dogs and cats (2024)を読んで

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

発作が5分続いたら治療を始める

以前は「30分以上続く発作」がてんかん重積状態(SE)の目安とされていましたが、現在は5分が重要な境目です。

多くの発作は数分以内に自然に止まります。一方、5分を超えた発作はそのまま長引き、自発的に止まりにくくなる可能性が高いため、5分を超えたらSEとして治療を開始します。

また、意識が回復しないまま2回以上発作を繰り返す状態もSEに含まれます。

一方、群発発作(cluster seizures:CS)は、24時間以内に2回を超える自己終息性発作と定義されています。群発発作もSEへ進行することがあるため、早めの対応が必要です。

SEは時間とともに薬が効きにくくなる

SEは4段階に分けられています。

Stage 1は5~10分、Stage 2は10~30分、Stage 3は30分を超えた難治性SE、Stage 4は24時間を超えるsuper-refractory SEです。

時間が経つにつれてGABA-A受容体が減少するなどの変化が起こり、ベンゾジアゼピン系薬が徐々に効きにくくなります。

つまり、同じ発作でも早く治療するほど止めやすい、ということです。

直腸内ジアゼパムより鼻腔内ミダゾラム

第一選択はベンゾジアゼピン系薬です。

犬では、鼻腔内ミダゾラム(ドルミカム®など)が高く評価されています。

従来、自宅でのレスキューには直腸内ジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®など)がよく使われていましたが、直腸内ジアゼパムは鼻腔内ミダゾラムほど速く、強力ではない可能性があります。

鼻腔内なら、痙攣している犬に静脈カテーテルを入れるのを待たずに投与できることも大きな利点です。

<h2>群発発作では「今止める」と「次を防ぐ」

群発発作では、その場の発作を止めるだけでなく、次の発作を防ぐ治療も重要です。

犬では、ミダゾラム(ドルミカム®など)の静注ボーラス+CRIと、レベチラセタム(イーケプラ®)静注が高く推奨されています。

自宅では、鼻腔内ミダゾラムに加えて、経口レベチラセタムを群発時に使用するpulse treatmentという方法も紹介されています。

ジアゼパムのCRIには扱いにくい点がある

ジアゼパムはプラスチックに吸着します。

そのため、プラスチック製のバッグや輸液ラインを使用すると濃度が低下し、薬効が落ちる可能性があります。

さらに遮光が必要で、溶媒のプロピレングリコールによる問題もあります。

このため、CRIでは特にミダゾラムの方が扱いやすいとされています。

難治性になったら、まずケタミンとデクスメデトミジン

第三選択治療(third-line treatment)は、麻酔薬を使って発作を止める段階です。

ここで印象的だったのは、最初に挙げられているのがケタミン(ケタラール®など)とデクスメデトミジン(デクスドミトール®)であることです。

犬ではケタミンが推奨A、デクスメデトミジンが推奨Bです。

それでも止まらなければ、プロポフォール(ディプリバン®など)、バルビツール酸系、最終的には吸入麻酔へ進みます。

昔の感覚では「止まらない痙攣ならプロポフォール」という印象もありましたが、今回のコンセンサスでは、ケタミンやデクスメデトミジンをかなり早い段階から利用する治療体系になっているのが印象的でした。

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