外耳炎にはステロイドを含む合剤、という概念でしたが、化膿していない場合にはステロイドだけでいいかも、という発見。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42582328
要旨
紅斑性耳垢性外耳炎(Erythemato-ceruminous otitis externa: ECOE)は、犬の外耳炎の一種であり、二次的な微生物感染を伴うことが非常に多い疾患である。日本国内で実施された多施設共同、盲検下、無作為化臨床試験において、ECOE(OTIS3スコア5以上)を呈する犬200頭を対象に、ヒドロコルチゾンアセポナート(HCA)スプレー製剤(製品名:Cortotic™、ビルバック社、フランス)の有効性および安全性を、テルビナフィン/フロルフェニコール/酢酸ベタメタゾン配合耳用ゲル(製品名:Osurnia™、物産アニマルヘルス社、日本)と比較評価した。試験では、Cortotic™を7日間または14日間連日投与する群と、Osurnia™を0日目および7日目に投与する群に分けて実施した。評価項目には、OTIS3スコアを用いた臨床評価、細胞診、および獣医師による主観的な有効性評価が含まれた。その結果、OTIS3スコアの減少、細胞診における所見の改善、および治療成功率のいずれにおいても、両群間に有意差は認められなかった。28日目におけるOTIS3スコアの減少率は、Cortotic™群で72.1%、Osurnia™群で76.1%であり、両群で同程度であった。治療成功率も同様であり、再発率は両群ともに低かった。28日目には、獣医師による主観的な有効性評価において、Cortotic™群の83%、Osurnia™群の87%の症例で「良好」または「非常に良好」と判定された。いずれの治療法も忍容性は良好であった。Cortotic™は、臨床的および細胞診上の有効性において、Osurnia™に対する非劣性を示した。コルチコステロイド単剤療法であるCortotic™の使用は、不必要な抗菌薬の使用を避けつつ、ECOEを管理するための有効な選択肢となり得る。本研究の結果は、犬の外耳炎に対する第一選択の治療法として、Cortotic™が有用であることを支持するものである。
感想
外耳炎には、ステロイド・抗菌薬・抗真菌薬を含む配合剤を使用する、というのが従来の考え方でした。
しかし、この論文では、ステロイド単剤でも従来の配合剤に劣らない治療効果が示されました。
細菌やマラセチアが検出されても、必ずしも抗菌薬や抗真菌薬が必要なわけではない、という点は興味深い発見でした。
いい論文だと思います。ただし、著者全員がビルバック関連企業の社員であることは少し気になります。
また、二重盲検試験とされていますが、両群で薬剤の使用方法が明らかに異なります。どこまで盲検化できていたのか、疑問が残ります。
今回示されたのは非劣性であり、ステロイド単剤が従来の配合剤より優れているということではありません。
したがって、従来の治療を否定するものではなく、ステロイド単剤という新たな選択肢が加わった、と理解するのがよさそうです。
特に、化膿性ではない紅斑性耳垢性外耳炎では、まずステロイド単剤で治療し、経過を評価するという方法を考えてもよいと思いました。
抗菌薬を使わなくてもよい症例を見極めることが、今後の課題ですね。
