Lorazepam reduces recurrence of urethral obstruction in male cats: a prospective, randomized, double-blinded, placebo-controlled study (2026)

ロラゼパムで尿道が弛緩したのか、不安を取り除いたのか、誤認逮捕(第一種の過誤)か。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42091068

要旨

目的:猫の初回尿道閉塞(UO)におけるロラゼパムの再発抑制効果、入院後の下部尿路(LUT)症状の頻度に対する影響、および本剤の副作用を評価する。

方法:2021年から2025年にかけて、尿道閉塞(UO)を主訴に大学附属動物病院を受診した飼育下の雄猫80匹を対象に、前向き無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。なお、尿石症や尿路感染症が認められる症例は除外した。対象の猫には、UOによる入院後1ヶ月間、ロラゼパムまたはプラセボを投与した。

結果:ロラゼパム投与群は41匹、プラセボ投与群は39匹であり、72匹が試験を完了した。72匹のうち5匹でUOの再発が認められたが、それらはすべてプラセボ投与群であった。ロラゼパム投与群ではUOの再発は1匹も認められなかった(0%;95%信頼区間[CI]:0.0%~10.9%)のに対し、プラセボ投与群では15.7%(95% CI:5.2%~33.7%)であり、この差は統計学的に有意であった。ロラゼパム投与群において、8~15日目には33匹中2匹(95% CI:0.7%~20.2%)、16~30日目には31匹中1匹(95% CI:0.1%~16.7%)にLUT症状が認められた。ロラゼパムに関連する統計学的に有意な副作用は運動失調(失調)のみであり、31匹中4匹(13%)に確認された。その他の報告された作用として、鎮静、食欲増進、鳴き声の増加などが挙げられた。

結論:本試験の対象集団において、ロラゼパムの投与は、プラセボ投与群と比較して、UOの再発率およびLUT症状の頻度を低下させることに関連していた。また、ロラゼパムの投与は安全であることが確認された。

臨床的意義:雄猫において、尿道閉塞(UO)が解消された後、UOの再発および下部尿路(LUT)症状を抑制する目的で、ロラゼパムを安全に使用できる可能性がある。

研究デザインと結果は評価できる

猫の尿道閉塞は、退院後の早期に再発することが多く、再閉塞までの期間は数週間と報告されています。

そのため、30日間という投与期間は合理的だと思います。

前向き無作為化二重盲検プラセボ対照試験という研究デザインも好ましい。

ただし、当初目標の120頭に達せず、80頭で研究を終了しています。実際の再閉塞は5頭のみであり、結果の再現性は今後の研究で確認する必要があります。

ジアゼパムと同様の肝障害は起こらないのか

猫では経口ジアゼパムによる急性肝壊死が報告されています。

ロラゼパムも同じベンゾジアゼピン系薬剤であるため、肝障害が心配です。

著者らは、ロラゼパムはジアゼパムと代謝経路が異なり、活性中間代謝物を生じないことから、比較的安全に使用できる可能性があると説明しています。

ただし、今回の研究では肝酵素の定期測定は行われておらず、肝障害の危険性がないとまではいえません。

骨格筋弛緩作用は、本当に尿道弛緩につながるのか

著者らは、雄猫の遠位尿道には骨格筋が多く、ロラゼパムには骨格筋弛緩作用があるため、尿道を弛緩させる可能性があると考えています。

しかし、骨格筋弛緩作用があることと、実際に尿道内圧が低下することは別の問題です。

したがって、再閉塞率が低下した理由が、尿道の骨格筋弛緩作用によるものなのか、抗不安作用によるものなのかは不明です。

次の研究を待ちたい

研究デザインは良好で、再閉塞率0%という結果は非常に興味深いものです。

ただし、実際に再閉塞した猫は5頭のみであり、肝障害を含めた安全性や、尿道弛緩という作用機序には不明な点が残っています。

症例数が少ない研究では、偶然の差を薬の効果と判断してしまう可能性があります。今回は統計学的に有意な差が認められましたが、真犯人を捕まえたのか、それとも誤認逮捕(第一種の過誤)なのか。

臨床的には有望な薬剤ですが、現時点では積極的な使用を急がず、より大規模な研究と尿道内圧を直接評価した研究を待ちたいと思います。

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