Clinical benefit of faecal microbiota transplantation administered via a single retention enema as an adjunctive treatment in dogs with chronic enteropathy: a randomised controlled trial (2026)

慢性下痢で健康な便を移植するといいのでは、というアイデアでしたが、今回の研究では例数が少なく、なんとも言えない、だそうです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41997887

要旨

目的:慢性腸疾患(chronic enteropathy)を患う犬の管理において、補助療法として、保持浣腸(retention enema)による単回の腸内細菌叢移植(faecal microbiota transplantation: FMT)を実施した場合の臨床的有用性を評価する。

材料および方法:盲検化ランダム化比較試験。慢性腸疾患(3週間を超える小腸性または混合性の下痢)を呈する犬を、FMT群または標準治療群にランダムに割り当てた(比率1:1)。標準治療群には食事変更のみを行い、FMT群には食事変更に加えてFMTを実施した。FMTには、特定の腸管病原体のスクリーニング検査を通過したドナー犬の新鮮な糞便を用い、保持浣腸によって投与した。評価項目には、犬炎症性腸疾患活動性指数(Canine Inflammatory Bowel Disease Activity Index: CIBDAI)、便スコア、および飼い主が報告する改善状況を含めた。群間比較には、フィッシャーの正確確率検定(飼い主による報告)およびクラスカル・ウォリス検定(CIBDAIスコアおよび便スコア;同順位を調整済み)を用いた。

結果:慢性腸疾患を患う犬42頭(CIBDAIスコアの中央値6、範囲4~11)を本研究の対象とした。25頭をFMT群に、17頭を標準治療群にランダムに割り当てた。両群の多くの犬において、時間の経過とともに便の性状が改善(便スコアの低下)していく傾向が認められた。90日目の時点で、飼い主が臨床的な改善を認めた割合は、FMT群で76%(信頼区間[CI] 54%~90%)、標準治療群で73%(CI 40%~92%)であった。飼い主による臨床的改善の報告割合、CIBDAIスコア、および便スコアのいずれにおいても、両群間に有意差は認められなかった。

臨床的意義:本研究では、慢性腸疾患の犬に対し、食事変更単独と比較して、単回の注腸による腸内細菌叢移植を併用することの明確な臨床的有用性は示されなかった。ただし、サンプルサイズが小さいため、第二種の過誤(偽陰性)の可能性を否定することはできない。両群で同様の転帰が得られたことは、今回の慢性腸疾患の犬の集団において、食事反応性(食事療法に対する良好な反応)が高い割合で存在することを示唆している。

感想

ドナーは7歳以下でいくつかの条件を満たせばよいという、ゆるい選別と思う。

いろいろ制限事項があり、有意差がなかったから無効とは言い切れないとのこと。

食事変更だけで多くの犬が改善しており、便移植の効果を評価する対象として適切だったのか、という疑問も残る。食事療法に反応しない難治例での研究を期待したい。

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