猫は犬より麻酔関連死亡のリスクが高く、特に気道管理、低体温、ストレス、覚醒期の管理が重要です。基本は「犬と同じ」でいいと思います。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫の麻酔ではストレスを減らす
食道聴診器は、猫の麻酔に必要な機器として挙げられています。
多くの猫では、来院前のガバペンチン投与が強く推奨されています。目的は鎮痛というより、抗不安作用によって来院時の恐怖やストレスを減らし、身体検査や処置を安全に行いやすくすることです。
長時間絶食は必ずしも必要ではない
絶食については、従来の「前夜から絶食」ではなく、麻酔3~4時間前に少量のウェットフードを与え、絶食時間を3~4時間程度とする方法を臨床医の判断で採用してもよいとしています。
水は麻酔前投薬までは飲ませてよいとされています。
猫の麻酔リスク
麻酔リスクでは、ASA 3以上で周麻酔期合併症のリスクが上昇します。
また、12歳を超えること自体もASAとは独立したリスク因子です。
6 kgを超える猫では、2~6 kgの猫に比べて周麻酔期死亡リスクが約3倍と報告されています。
全年齢で低体温に注意する
全年齢を通して重要なのが低体温です。
保温は麻酔中だけでなく、麻酔前投薬の段階から開始します。
併存疾患がある猫の麻酔
HCMだからα2作動薬が一律禁忌というわけではありません。
甲状腺機能亢進症では、可能なら甲状腺機能を正常化してから予定麻酔を行います。
尿道閉塞では、高K血症や脱水などを麻酔前に補正します。尿道カテーテル挿入時には、仙尾椎硬膜外ブロックが鎮痛とカテーテル挿入の補助として有用です。
処置時鎮静
処置時鎮静は、意識を完全に消失させず、鎮静薬・鎮痛薬・局所麻酔などを組み合わせて処置を行う方法です。
包帯交換、X線撮影、超音波検査などに利用できます。
全身麻酔と比較して、強い身体保定を減らせる、ストレスが少ない、気道管理が簡単、吸入麻酔を避けられる、覚醒が速い、などの利点があります。
気道管理
猫の麻酔関連死亡の多くは麻酔終了後3時間以内に起こり、気道閉塞が重要な原因の一つです。
猫の気管挿管では、無理に気管チューブを押し込まないことが重要です。挿管中に咳や抵抗があれば、いったん中止して麻酔深度を確認し、必要なら導入薬を追加します。無理に進めると喉頭や気管の損傷につながる可能性があります。
気道管理には気管チューブだけでなく、v-gelやフェイスマスクなどもあり、処置内容や麻酔時間に応じて選択します。
麻酔前チェックリスト
麻酔前チェックリストの使用が強く推奨されています。
麻酔器や呼吸回路、気管チューブ、モニター、緊急薬などを麻酔開始前に確認しておくことで、周麻酔期のトラブルに備えます。
麻酔中のモニタリング
麻酔中は、心拍数、血圧、SpO₂、ETCO₂、体温などをモニターし、特に保温に努めます。
猫は覚醒期まで油断しない
猫では麻酔終了後の覚醒期も非常に重要です。
麻酔関連死亡の多くが覚醒期、特に最初の3時間に起こるため、手術が終了してもモニタリングを継続します。
覚醒時に暴れていたら、まず疼痛を疑う
覚醒時に猫が激しく暴れている場合は、まず疼痛を疑います。同時に、低酸素や気道閉塞などがないことも確認します。
疼痛と呼吸状態に問題がなく、覚醒時せん妄や異常興奮が疑われる場合には、少量のα2作動薬で再度軽く鎮静することも選択肢です。
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