猫の膀胱に尿石が見つかると、「手術が必要?」と心配になるかもしれません。
しかし、猫で多いストルバイト尿石は、療法食で溶かせることがあります。
一方、シュウ酸カルシウム尿石は食事では溶けません。そのため、尿石の種類を考えながら治療方法を選ぶことが大切です。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫で多い尿石は2種類
猫では、ストルバイトとシュウ酸カルシウムが代表的です。
どちらもレントゲンに写ることが多く、見た目だけで完全に区別することはできません。
尿のpH、結晶、年齢、尿石の形などから推測しますが、尿中の結晶と尿石の成分が一致するとは限りません。
摘出した場合は、成分分析で種類を確認できます。
ストルバイト尿石は食事で溶かせる
ストルバイト尿石は、尿のミネラル濃度やpHを調整する療法食によって溶解できることがあります。
2025年のiCatCareガイドラインでは、食事療法による溶解にはおよそ2~3週間かかることがあるとされています。
治療中はレントゲンや超音波検査で、尿石が小さくなっているか確認します。
療法食は「混ぜない」
尿石を溶かす目的では、基本的に療法食を中心に与えます。
ほかのフードやおやつを多く与えると、療法食の効果が弱くなることがあります。
また、水分摂取量を増やして尿を薄くすることも大切です。ウェットタイプの療法食や、水飲み場を増やす方法もあります。
石が小さくならなければ?
数週間続けても尿石が小さくならない場合は、
「本当にストルバイトなのか?」
を考え直します。
特にシュウ酸カルシウム尿石は食事では溶けません。
食事療法を何か月も続けるのではなく、画像検査で実際に縮小しているか確認することが大切です。
シュウ酸カルシウム尿石は溶かせない
シュウ酸カルシウム尿石は、現在のところ療法食や薬で溶かすことはできません。
症状がある場合は、手術や、条件によってはカテーテルなどを使った除去を検討します。
除去後は水分摂取量を増やすなど、再発予防を行います。必要に応じて血液中のカルシウム濃度も調べます。
ストルバイトに抗生剤は必要?
猫のストルバイト尿石は、多くの場合、細菌感染とは関係なく形成されます。
そのため、ストルバイト尿石だから抗生剤を使うわけではありません。
尿培養などで細菌性尿路感染症が確認された場合に、必要に応じて抗菌薬を使用します。
尿石があってもすぐ手術とは限らない
ストルバイト尿石が疑われ、尿道閉塞がなく状態が安定していれば、まず療法食による溶解を検討できます。
一方、尿道閉塞がある、症状が強い、食事療法で縮小しない、シュウ酸カルシウム尿石が疑われる場合などは、別の治療が必要です。
雄猫で尿が出ない場合は別
雄猫では、小さな尿石や尿道栓子などによって尿道閉塞を起こすことがあります。
何度もトイレに行くのに尿がほとんど出ていない場合は、療法食で様子を見る状態ではありません。
尿道閉塞は命に関わるため、すぐに動物病院を受診してください。
ストルバイトなら「取る」前に「溶かす」
猫の尿石がストルバイトと疑われる場合には、手術をせず療法食で溶かせる可能性があります。
一方、シュウ酸カルシウム尿石は食事では溶けません。
ストルバイトなら溶解を試し、溶けなければ診断を見直す。
猫の尿石治療では、この見極めが重要です。
▼ 関連記事
→ 猫がおしっこに何度も行く・出ない|尿道閉塞は緊急
→ 猫の膀胱炎に抗生剤は必要?|FICと細菌性膀胱炎の違い
