ACVIM consensus statement on the diagnosis of immune-mediated hemolytic anemia in dogs and cats (2019)を読んで

▼ 現在地:ガイドラインを読む > 本記事

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

IMHAには「これだけで確定」という検査はない

IMHA(Immune-Mediated Hemolytic Anemia:免疫介在性溶血性貧血)には、獣医療で合意されたgold standard(診断の絶対的基準)がありません。

DAT(Direct Antiglobulin Test:直接抗グロブリン試験/クームス試験)も、単独でIMHAを確定・除外できる検査ではありません。複数の所見を組み合わせて診断します。

診断は大きく、

① 貧血がある
② 免疫介在性赤血球破壊の証拠がある
③ 溶血の証拠がある

の3段階で考えます。

免疫介在性破壊の証拠として、SAT(Saline Agglutination Test:生理食塩水凝集試験)、DAT、Flow Cytometry(フローサイトメトリー)などを評価し、さらに溶血所見を少なくとも1つ確認します。

球状赤血球を診断基準として使うのは犬だけ

球状赤血球はIMHAを疑う重要な所見ですが、診断基準として使うのは犬だけです。

猫の赤血球はもともと中心淡明が明瞭ではないため、球状赤血球を形態的に判断することが困難です。

また、初診時に非再生性貧血であってもIMHAは否定できません。犬のIMHAでは約30%が初診時には非再生性とされています。

IMHAと診断したら、原因を探す

IMHAでは、感染症、腫瘍、薬剤、ワクチン、炎症性疾患などとの関連が報告されています。

ただし、このコンセンサスを読むと、「一緒に見つかった」ことと「IMHAの原因である」ことは別だという点が繰り返し強調されています。

そのため従来のprimary(原発性)/secondary(続発性)より、

associative IMHA(併存疾患あり)

non-associative IMHA(併存疾患が見つからない)

という表現が提案されています。

腹部X線で亜鉛中毒を除外する

IMHA症例の基本的な原因検索として、CBC(Complete Blood Count:全血球計算)、血液塗抹、生化学検査、尿検査などに加えて、

腹部X線検査で亜鉛中毒による溶血を除外する

ことが推奨されています。

これは今回読んで、かなり実践的で印象に残る点です。

また、犬ではBabesia spp.、猫では特にMycoplasma haemofelisなど、感染症の除外も重要です。

▼ ガイドラインを読む に戻る

友だち追加 友だち追加 開院準備を更新中! 開院準備を更新中!
上部へスクロール