ホーム > 腫瘍まとめ > 症状 > 犬の口の中にデキモノを発見!これって癌?早期発見のコツ
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
口の腫瘍は良性もあれば悪性もある
口にできた腫瘍と聞くと、どんな感じになるのかイメージが湧かず、怖くなりますね。口の腫瘍も良性と悪性があり、ものによって腫瘍の振る舞いが変わってきます。
私自身、放射線治療に携わっていましたので、口の腫瘍というと悪性で嫌なものというイメージがあります。放射線治療では手術で取りきれない腫瘍がほとんどで治療をしても長期制御は少ないイメージでしたから。
口のできもののチェック
・口の中を見る習慣としつけ
・歯磨きでチェック
・スケーリングも役立ちます
例外的に早期のものを診る機会も、実はあります。その理由は、他の部位の腫瘍の治療でついでに口の中の小さなしこりを検査する、というときです。
良性腫瘍はゆっくり大きくなる
以前、口腔腫瘍を調査したことがありますが、良性腫瘍の場合は「発見から来院まで2ヶ月以上」経っていることが多かったです。見た目も表面が滑らか、もしくはカリフラワー状で、大きさの変化もほとんど感じられません。良性腫瘍は膨張するように大きくなりますが、ある程度のサイズで止まるため、このような経過になります。
悪性腫瘍はぐんぐん増大
一方で悪性腫瘍は、発見から来院まで「2週間」など、明らかに期間が短く、急激に大きくなっていました。急に大きくなりますと心配になり動物病院で治療したくなりますよね。口に発生する悪性腫瘍の症状は、何もないものから口臭がキツくなる、歯がグラグラする、片側で噛む、出血、顔が膨れる、食べにくそうにする、呼吸困難まで様々です。顎の先の方にできた場合には何気なく発見することができるかもしれませんが、奥の方では直接診るチャンスが少ないので、症状が出てから発見されることが多いのです。噛み合わせで腫瘍を傷つけると飲み水に血が混じることがありますのでそのようなタイミングで発見されることもあります。
病名が違えば振る舞いが違う
口の悪性腫瘍は、他の部位の腫瘍と同様、腫瘍の種類と広がり(ステージ)の評価が重要になってきます。種類としては、悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫が多いとされています。病名が変わると腫瘍の振る舞いも変わり、メラノーマは転移性が高い、扁平上皮癌は腫瘤形成するものは切除できれば治る可能性があり、潰瘍性なら手術が難しくなることがあります。
判断に迷うのが赤くて炎症と区別がつかない場合があります。炎症ですと薬に反応しそうですが、歯周病があるとそちらを対処しないと赤いままかもしれません。炎症と区別すべき腫瘍には、すでに述べたようなものの他にリンパ腫も可能性があります。いずれにしろ、見分けるためには細胞診もしくは病理検査が必要になるかもしれません。
日頃の確認が大切
口の中の腫瘍の発見は、皮膚の腫瘍の発見と似ています。基本は見ること、触ること。よく見るためには視線を口に近づけたい。そのために椅子に座らせます。そして口を開け上顎の奥まで見ていただきたい。それから歯磨きなどで歯の周りを触ってください。歯科のスケーリングで見つかることもあります。いずれにしろ定期的なチェックが必要ですね。
口の中に発生する腫瘍のなかで悪性のものは急に大きくなります。発見して大きくなるようでしたら早めの診察がいいですね。知るのが怖いから見ないふりをする、というのが命取りになることがあります。日頃のスキンシップや歯磨きを通じていつもの状態を覚えておいてください。しこり発見の第一歩です。
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獣医師 圓尾真理
獣医師 圓尾拓也
日本獣医がん学会 腫瘍科認定医1種(I種)
放射線取扱主任者1種
博士(獣医学)
エビデンスにもとづいた情報発信に努めます。