新生子蘇生で最も印象に残ったのは、「心臓を動かす」より先に「肺を開く」という考え方です。
胎内では肺で呼吸していません。出生後に肺が十分に開かないと、
肺が開かない → 低酸素 → 徐脈
という流れになります。
そのため、新生子の蘇生では胸骨圧迫よりも、まず換気によって肺を開くことが重要です。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
子犬を振る“swinging”は行わない
昔よく行われていた、子犬を振って気道内の液体を出そうとする“swinging”は明確に否定されています。
加速・減速による頭蓋内出血や、胃内容物を誤嚥する危険があるためです。
出生直後は乾いたタオルで体を乾かして刺激し、必要に応じて口や鼻をやさしく吸引します。
新生子蘇生は準備から始まる
難産や帝王切開では、生まれてから器具を探していては間に合いません。
準備しておくものとして、
乾いたタオル、保温器具、バルブシリンジなどの気道吸引器具、サイズの異なる密着マスク、酸素源、Tピース蘇生器・自己膨張バッグ・麻酔器などのPPV装置、聴診器またはドプラ、メトロノーム、RECOVERのアルゴリズム、あらかじめ計算した薬剤投与表
などが挙げられています。
心拍数120が最初の分岐
新生子では、心拍数が重要な指標になります。
乾燥、刺激、気道確保をしてもHR(Heart Rate:心拍数)が120 bpm未満、あるいは無呼吸やあえぎ呼吸であれば、PPV(Positive Pressure Ventilation:陽圧換気)を開始します。
気道内の液体をすべて出す必要はありません。出生直後の肺はもともと胎児肺液で満たされており、換気によって肺を開くことが重要です。
つまり、
心拍数を測る → 120未満なら換気
と覚えておくと分かりやすそうです。
心拍数50未満なら胸骨圧迫
PPVを行っても状態が悪く、HRが50 bpm未満、または心拍が確認できない場合には胸骨圧迫を開始します。
新生子では、心拍が完全に止まるまで待たないところが成人のCPRとの大きな違いです。
胸骨圧迫と換気の比率は4:1。
圧迫4回 → 換気1回
を繰り返します。
ドキサプラムは慎重に
以前は呼吸刺激薬として使われていたドキサプラムも、現在は慎重な位置づけです。
ドキサプラムは呼吸中枢を刺激する一方で脳の酸素需要を増加させるため、低酸素状態の新生子では低酸素性虚血性脳障害を悪化させる可能性があります。
使うとしても、十分に酸素化されていて、単に呼吸数が少ない新生子への補助的使用に限られます。
このガイドラインは、
120未満なら換気、50未満なら胸骨圧迫。新生子蘇生の主役は薬ではなく、まず肺を開くこと。
と覚えると、かなり整理しやすいですね。
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