犬や猫が高齢になったり、病気が進んだりすると、歩く、食べる、排泄する、寝返りをする、という日常の動きが少しずつ難しくなります。
この時期に大切なのは、ただ長く生きることだけではありません。痛みや不快感を減らし、その子らしく過ごせる時間をできるだけ守ることです。
老齢期や終末期のケアでは、歩行補助、床ずれ予防、排泄の介助、食事の姿勢、そして家族の介護疲れを分けて考えると整理しやすくなります。
まず「寝たきりにしない」ことを考える
歩く力が弱くなってきたとき、すぐに寝たきりと考える必要はありません。
後ろ足がふらつく、立ち上がりに時間がかかる、散歩の距離が短くなる。こうした段階では、補助ハーネスや滑り止め、床材の工夫で生活が楽になることがあります。
歩行補助ハーネスは、弱っている場所に合わせて選びます。後ろ足だけが弱いのか、前足も弱いのか、体幹ごと支える必要があるのかで適した形は変わります。胴長の犬では、細い胴輪で体を吊ると背中に負担がかかることがあります。できれば広い面で体を支えるものが安心です。
車椅子は、単に歩かせる道具ではありません。立った姿勢を保つことで、呼吸、消化、気分転換、床ずれ予防にも役立つことがあります。前足がしっかりしている子では2輪、前足も弱い子では4輪が必要になることがあります。ただし、すべての子に合うわけではないため、痛み、麻痺、体力、家の環境を見て判断します。
寝たきりになったら床ずれを防ぐ
自分で寝返りができなくなると、肩、腰、肘、かかとなど、骨が出ている場所に圧がかかり続けます。血流が悪くなると、床ずれができます。床ずれは一度できると治りにくく、痛みや感染の原因にもなります。
基本は、2~3時間ごとの体位変換です。ただし、体を引きずって向きを変えると皮膚の下にずれが起こり、かえって傷めることがあります。できれば体を少し持ち上げるようにして、向きを変えます。大型犬では、介護ハーネスやバスタオルを使うと家族の負担も減ります。
マットも大切です。寝返りの力が少し残っている子には高反発マット、骨が出て痛みが強い子には低反発マットが合うことがあります。失禁がある場合は、洗いやすく乾きやすい素材が現実的です。清潔に保てないマットは、かえって皮膚炎の原因になります。
排泄は「清潔」と「無理をしない」が大切
排泄の介助は、老齢期のケアで家族の負担が大きい部分です。尿や便で皮膚が汚れたままになると、おむつかぶれ、皮膚炎、感染につながります。おむつを使う場合は、こまめに交換し、汚れた部分をやさしく洗い、よく乾かすことが大切です。必要に応じてワセリンなどで皮膚を保護します。
圧迫排尿は、膀胱を強く押しすぎると、痛み、尿の逆流、膀胱損傷の危険があります。特に猫では、緊張や痛みによって尿道が締まりやすく、無理な圧迫は危険です。圧迫排尿が必要かどうか、どのくらいの力で行うかは、必ず動物病院で確認してからにします。
食事は「安全な姿勢」で
高齢の犬や猫では、飲み込む力が落ちることがあります。寝たまま食べさせる、首がねじれた姿勢で食べさせる、急いでシリンジで流し込む。こうした食べ方は誤嚥の原因になります。
食事は、できるだけ伏せや立位に近い姿勢で、首が自然な角度になるようにします。食後すぐに横に寝かせると、逆流や誤嚥の危険があるため、しばらく上体を起こした姿勢を保つ方が安心です。
シリンジでの給餌は、やり方を間違えると危険です。口の奥に入れすぎないこと、少量ずつ入れること、飲み込む様子を確認することが大切です。むせる、咳をする、呼吸が荒くなる、食後に元気が落ちる場合は、無理に続けず相談してください。
私たちもお役に立てます
終末期の介護は、家族の気力だけで続けるには限界があります。夜鳴き、寝返り、排泄介助、食事介助が重なると、睡眠不足になります。介護する人が疲れ切ると、動物にもつらさが伝わります。
動物病院での預かり、デイケア、ペットシッター、家族内での役割分担など、使える支援は使ってよいと思います。介護を他人に頼ることは、見捨てることではありません。穏やかな時間を続けるための方法です。
終末期のケアは無理しないでください。歩けるなら歩く。歩けないなら姿勢を整える。食べられるなら安全に食べる。食べられないなら無理をしすぎない。家族も休む。
犬や猫の老齢期、終末期のケアは、状態、痛み、性格、家族の体力、通院できる距離、費用などの条件を見ながら、少しずつ調整していくものです。
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