犬や猫のお腹が張っているとき

犬や猫のお腹が張っているとき、「太っただけかな」「食べすぎかな」と思うことがあります。実際に、肥満や便秘のこともあります。ただし、お腹の張りの中には、すぐに動物病院で診た方がよいものがあります。特に、急にお腹がふくらんだ、息が苦しそう、吐こうとしても吐けない、歯ぐきが白い、ぐったりしている場合は、様子を見ない方がよい状態です。お腹が張る原因は、ガス、液体、血液、便、臓器の腫れ、筋肉の低下などさまざまです。見た目は同じように「お腹が大きい」でも、中で起きていることはまったく違います。

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すぐに受診した方がよいサイン

吐こうとしているのに吐けない、お腹が急にパンパンに張った、呼吸が浅く速い、横になるのを嫌がる、歯ぐきや舌の色が白い、または紫っぽい、急にぐったりした、立てない、ふらつく。こうした症状があるときは、夜間でも動物病院に連絡してください。避妊していない雌犬・雌猫で、元気や食欲がなく、お腹が張っている場合も注意が必要です。胃拡張・胃捻転、腹腔内出血、子宮蓄膿症、重い腹水などが隠れていることがあります。

ガスでお腹が張る

犬で特に注意したいのが、胃拡張・胃捻転症候群です。胃にガスがたまり、さらに胃がねじれる病気です。大型犬に多い病気ですが、小型犬でも起こらないわけではありません。特徴は、急にお腹が張ること、落ち着きがなくなること、吐こうとしても吐けないことです。胃が大きくふくらむと、血管や横隔膜が圧迫され、呼吸や循環が急に悪くなります。時間との勝負です。

血液でお腹が張る

中高齢の犬で注意したいのが、脾臓や肝臓の腫瘍からの出血です。お腹の中に血液がたまると、外からは「お腹が張った」ように見えます。歯ぐきが白い、急にふらつく、ぐったりする、呼吸が速いといった症状が出ることがあります。一度少し元気になったように見えても、出血が一時的に止まっているだけのこともあります。この場合、様子見は危険です。血液検査、超音波検査、腹水の確認などを行い、必要に応じて輸血や手術を考えます。

液体でお腹が張る

お腹の中に液体がたまることを腹水といいます。腹水の原因には、心臓病、肝臓病、腎臓病、腫瘍、炎症、猫伝染性腹膜炎(FIP)などがあります。腹水では、体は痩せているのにお腹だけが大きく見えることがあります。猫、とくに若い猫で、発熱、食欲低下、体重減少、お腹の張りがある場合は、FIPも鑑別に入ります。FIPは以前は非常に厳しい病気でしたが、近年は抗ウイルス薬による治療が行われるようになっています。ただし、診断や治療には専門的な判断が必要です。

便秘や巨大結腸症

猫では、便秘や巨大結腸症によってお腹が張ることがあります。数日便が出ない、何度もトイレに行く、いきむ、吐く、食欲が落ちるといった症状が見られます。便秘は軽く見られがちですが、重くなると自力で排便できなくなります。食事、内服、浣腸、摘便などで対応しますが、慢性化している場合は長期管理が必要です。

子宮蓄膿症

避妊手術をしていない雌犬・雌猫で、お腹が張る、元気がない、よく水を飲む、吐く、陰部から膿のようなものが出る場合は、子宮蓄膿症を疑います。陰部から膿が出るタイプもありますが、外に出ず、子宮の中に膿がたまるタイプもあります。閉鎖型では発見が遅れやすく、子宮破裂や敗血症につながることがあります。治療の中心は、卵巣と子宮を摘出する手術です。状態が悪くなってからの手術はリスクが高くなるため、早めの受診が大切です。

クッシング症候群

犬では、副腎皮質機能亢進症、いわゆるクッシング症候群でお腹がぽっこり見えることがあります。これは単なる肥満ではありません。ホルモンの影響で筋肉が落ち、肝臓が大きくなり、お腹が下がって見えるためです。よく水を飲む、尿が多い、食欲が強い、皮膚が薄い、左右対称に毛が抜ける、といった症状を伴うことがあります。診断には血液検査やホルモン検査が必要です。治療は長期管理になることが多く、薬の量を調整しながら経過を見ていきます。

子犬や子猫

子犬や子猫でお腹だけがぽっこりしている場合、寄生虫が原因のことがあります。回虫などが腸の中に多く寄生すると、下痢、嘔吐、発育不良、毛づやの悪さが見られることがあります。便の検査や駆虫薬で対応します。人にうつる可能性のある寄生虫もあるため、子犬や子猫では定期的な糞便検査と駆虫が大切です。

病院では何を調べるか

お腹が張っているときは、まず緊急性を確認します。呼吸、歯ぐきの色、脈、体温、意識状態を見たうえで、必要に応じてレントゲン検査、超音波検査、血液検査、腹水検査、尿検査、便検査などを行います。状況によっては、内視鏡検査や病理検査が必要になることもあります。「太っているのか」「便がたまっているのか」「腹水なのか」「血液なのか」「腫瘍や臓器の腫れなのか」を分けます。見た目だけでは判断できません。

まとめ

犬や猫のお腹が張る原因は、軽い便秘から命に関わる病気までさまざまです。急にお腹が張った、息が苦しそう、吐こうとしても吐けない、歯ぐきが白い、ぐったりしている。このようなときは、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。一方で、慢性的にお腹がぽっこりしている場合も、肥満だけとは限りません。腹水、腫瘍、ホルモンの病気、便秘、寄生虫などが隠れていることがあります。「お腹が張っている」は、体の中で起きている異常を知らせる大事なサインです。早く気づいて、早く調べることが、犬や猫を守ることにつながります。

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