フィラリア予防薬を始める前には、血液検査を行うことがあります。
「毎年薬を飲んでいるのに、なぜ検査が必要なの?」
「去年も陰性だったのに、今年も検査するの?」
そう感じる方も少なくありません。
フィラリアの検査は、薬を飲めるかどうかだけを見る検査ではありません。大切なのは、すでにフィラリアに感染していないかを確認することです。
フィラリア予防薬は、基本的に「これから感染が成立するのを防ぐ薬」です。すでに成虫になって心臓や肺の血管に寄生しているフィラリアを、通常の予防薬だけで安全に治療する薬ではありません。
そのため、予防を始める前、または再開する前には、現在の感染状況を確認することが大切です。
→ フィラリア予防
フィラリア予防薬は「成虫を治す薬」ではありません
フィラリアは、蚊に刺されることで犬の体内に入ります。
体内に入ったフィラリアの幼虫は、時間をかけて成長し、最終的には心臓や肺の血管に寄生します。ここまで進行すると、咳、疲れやすさ、呼吸の異常、腹水、突然の体調悪化などを起こすことがあります。
フィラリア予防薬は、体内に入って間もない幼虫を駆除し、成虫になる前に感染を防ぐ薬です。
一方で、すでに成虫になったフィラリアを通常の予防薬だけで治すことはできません。感染に気づかないまま予防薬だけを続けていると、体の中では病気が進行してしまう可能性があります。
検査で確認しているのは「今、感染していないか」
フィラリア検査では、主に血液を使って感染の有無を確認します。
一般的には、フィラリア成虫に関連する抗原を調べる検査が行われます。また、必要に応じて、血液中にミクロフィラリアと呼ばれる子虫がいないかを調べることもあります。
つまり、検査の目的は「薬が効く体かどうか」を調べることではありません。
本当の目的は、すでに感染している可能性がないかを確認し、その子に合った安全な予防・治療方針を立てることです。
去年予防していても、今年の検査が必要な理由
去年きちんと予防していたとしても、今年の検査が必要になることがあります。
理由は、フィラリア感染がすぐに検査でわかるとは限らないからです。蚊に刺されて感染してから、検査で陽性として確認できるようになるまでには時間差があります。
また、実際の生活では、次のようなことが起こります。
薬を飲ませたつもりでも、吐き出していた。
投薬日が数週間ずれていた。
月1回の薬をうっかり忘れていた。
予防期間の開始や終了が地域の蚊の活動とずれていた。
引っ越しや旅行で、蚊の多い地域に行っていた。
このような場合、飼い主さんが気づかないうちに感染のチャンスが生まれていることがあります。
そのため、毎年の検査は「疑っているから行う検査」ではなく、「安全に予防を続けるための確認」と考えるとわかりやすいです。
検査をせずに薬を飲ませるリスク
フィラリアに感染していることに気づかず予防薬を飲ませた場合、すべての犬で大きな問題が起こるわけではありません。
しかし、感染状況によっては、血液中のミクロフィラリアが急に影響を受け、体調変化を起こす可能性があります。また、成虫がいる状態を見逃すことで、必要な治療の開始が遅れることもあります。
フィラリア症は、初期には目立った症状が出ないことがあります。
元気に見えるから感染していない、とは言い切れません。だからこそ、投薬前の検査が重要になります。
子犬では検査が不要なこともあります
生後まもない子犬では、すぐにフィラリア検査が必要とは限りません。
フィラリアは、感染してから検査で確認できるようになるまでに時間がかかります。そのため、年齢によっては、まず予防を開始し、成長後に検査を行う流れになることがあります。
一方で、ある程度月齢が進んでいる犬、保護犬、予防歴が不明な犬、前の投薬状況がわからない犬では、検査をしてから予防を始めることが大切です。
猫のフィラリアは犬と少し違います
猫にもフィラリアは感染します。
ただし、猫では犬のように典型的な検査結果が出にくいことがあり、診断が難しい病気です。少数寄生でも咳、呼吸困難、嘔吐、突然の体調悪化などを起こすことがあります。
猫の場合は、検査だけでなく、生活環境、蚊に刺されるリスク、室内飼育かどうか、地域性を含めて予防を考えます。
「室内猫だから絶対に大丈夫」とは言い切れません。蚊は室内にも入るため、心配な場合は相談してください。
フィラリア予防は「検査」と「継続」が大切です
フィラリア症は、感染してから治療するよりも、感染を防ぐ方がはるかに負担の少ない病気です。
ただし、予防薬は「飲ませていれば何も確認しなくてよい薬」ではありません。
安全に予防を続けるためには、投薬前の検査、決められた期間の継続、飲み忘れたときの相談が大切です。
毎年のフィラリア検査は、形式的な検査ではありません。
その年も安心して予防を始めるための、大切な確認です。
フィラリア予防を始める時期、飲み忘れた場合、昨年の予防が不安な場合は、自己判断で薬を再開せず、動物病院にご相談ください。
→ フィラリア予防