犬や猫がセミ・ゴキブリを食べても大丈夫?

犬や猫がセミやゴキブリを1匹食べても、昆虫そのものの毒によって重い中毒を起こすことは通常ありません。多くは無症状か、一時的な嘔吐、軟便、下痢などで治まります。ただし、「虫だからすべて安全」というわけではありません。食べた量、動物の体格、殺虫剤への接触、駆除剤の容器ごと飲み込んでいないかによって、対応が変わります。

犬や猫が虫を追いかけるのは、動くものに反応する狩猟本能による自然な行動です。セミの動きや羽音、ゴキブリの素早い動きは、その本能を強く刺激します。一度食べて興味を持つと、散歩中や室内で繰り返し探すようになることもあります。

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

セミを食べたときに起こりやすい症状

セミの体や羽には硬く消化しにくい部分が含まれています。1匹程度であれば問題にならないことが多いものの、何匹も食べると胃腸が刺激され、嘔吐、下痢、食欲低下、腹痛などを起こす可能性があります。

小型犬や子犬が大きなセミを丸飲みした場合には、まれに喉や食道に詰まることがあります。突然せき込む、何度もえずく、苦しそうに呼吸する、口を前足でかくといった症状があれば、すぐに動物病院を受診してください。

屋外で拾ったセミには、樹木や公園に散布された殺虫剤などが付着している可能性もあります。セミを食べた直後から大量のよだれ、嘔吐、下痢、ふらつき、筋肉の震え、瞳孔の異常、呼吸困難などがみられた場合は、中毒の可能性を考えて緊急受診が必要です。

ゴキブリを食べたときの注意点

ゴキブリ自体にも、犬や猫を直ちに死亡させるような固有の毒はありません。ただし、不衛生な場所を移動するため、体表に細菌や汚れが付着している可能性があります。食べた後に嘔吐や下痢が続く場合は、動物病院へ相談してください。

より注意が必要なのは、殺虫スプレーをかけた直後のゴキブリや、毒餌を食べたゴキブリです。ゴキブリ1匹を介して摂取する薬剤の量は少ないことが多いものの、製品や使用量によって安全性は異なります。食べた虫に殺虫剤を使用していた場合は、商品の容器を手元に用意して動物病院へ連絡しましょう。

ゴキブリ駆除剤を容器ごと食べた場合

設置型のゴキブリ駆除剤を犬や猫が直接かじった場合は、虫を食べた場合とは分けて考える必要があります。薬剤による中毒だけでなく、プラスチック容器の破片による食道や胃腸の傷、腸閉塞が問題になるためです。

食べた量が分からない、容器が欠けている、丸ごとなくなっている場合は、症状がなくても早めに動物病院へ相談してください。商品名、成分、食べた可能性のある時刻、残っている容器や破片の状態を伝えると、必要な処置を判断しやすくなります。
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すぐに受診したほうがよい症状

何度も吐く、水も飲めない、元気や食欲がない、腹部を痛がる、血便が出る、顔が腫れる、じんましんが出る、呼吸が苦しそう、ふらつく、震える、けいれんする、ぐったりして立てない場合は、すぐに受診してください。顔の腫れや急激な嘔吐、虚脱は、まれにアレルギー反応やアナフィラキシーでみられることがあります。
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症状がなく、殺虫剤が付いていない虫を1匹食べただけであれば、無理に吐かせず、食欲、嘔吐、便の状態を半日から1日程度観察します。家庭で食塩やオキシドールを飲ませて吐かせる方法は、中毒や胃腸障害、誤嚥を引き起こす危険があるため行わないでください。
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虫の拾い食いを防ぐために

散歩では地面を先に確認し、セミが多い場所ではリードを短めに持ちます。室内の駆除剤は、犬や猫が届かない家具の裏や専用ケース内に設置してください。口にした物を無理やり取り上げると、急いで飲み込むようになることがあります。普段から、おやつと交換して口から出す「ちょうだい」や、落ちている物から離れる練習をしておくことが、誤食事故の予防につながります。
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