犬や猫が突然倒れ、体を硬直させたり、手足を激しく動かしたりすると、ご家族は強い不安を感じます。しかし、「けいれん=てんかん」とは限りません。低血糖や中毒、肝臓病などによる一時的な発作から、脳炎、脳腫瘍、脳血管障害、特発性てんかんまで、さまざまな原因が考えられます。
初めての発作では、まず動物の安全を確保してください。階段や家具の角、落下しそうな場所から離し、部屋を暗く静かにします。体を強く押さえつけたり、口の中に手や物を入れたり、舌を引っ張ったりしてはいけません。発作中は意識がなくても、反射的に強く咬むことがあります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
発作の時間を測り、できれば動画を撮る
可能であれば時計を見て、発作が始まった時刻と持続時間を記録します。安全が確保できたら、スマートフォンで動画を撮影してください。全身が映るように少し離れて撮り、顔だけ、片側の手足だけなど、部分的な動きがある場合は、その様子も残します。呼びかけに反応するか、よだれ、排尿、嘔吐があるか、発作後にふらつきや視力低下、徘徊がみられるかも重要な情報です。
動画は、けいれん発作と失神、睡眠中の動き、前庭疾患、痛みによる震えなどを見分ける手がかりになります。ただし、撮影よりも安全確保を優先し、無理に歩かせたり、顔の近くに手を出したりしないでください。
すぐ動物病院へ行くべきけいれんの目安
発作が5分以上続く場合、短時間に繰り返す場合、意識が戻らないまま次の発作が起きた場合は救急です。5分を過ぎてから病院を探すのではなく、数分続いている時点で救急対応可能な動物病院へ連絡してください。初めての発作、子犬・子猫、高齢動物、中毒の可能性がある場合、発作後も立てない、呼吸がおかしい、体が著しく熱い場合も早めの受診が必要です。
けいれんの原因を調べるために行う検査
診察では、発作時の様子、発症年齢、回数、持続時間、発作後の回復状況、薬やサプリメント、誤食の可能性などを確認します。血液検査や尿検査では、血糖値、肝臓・腎臓の機能、電解質などを調べ、脳以外の原因による「反応性発作」を除外します。
血液検査で明らかな異常がなくても、発作のない時間にふらつき、旋回、視力異常、性格変化などが残る場合は、脳炎や脳腫瘍などの構造的な病気を疑います。発症年齢、神経学的検査、発作の頻度などを踏まえ、必要に応じてMRI検査や脳脊髄液検査を検討します。
1回のけいれんで、すぐ薬を始めるとは限らない
一度だけの短い発作で、すぐ普段どおりに戻った場合、必ずしもすぐに生涯の投薬が始まるわけではありません。反対に、発作が長い、群発する、回数が増えている、脳の病気が疑われる場合には、早期の抗発作薬が必要になることがあります。
発作後は動画と記録を残す
発作が起きた日には、日時、持続時間、直前の行動、食事、投薬、天候、発作後の様子を記録してください。初発発作では、慌てて発作を止めようとするよりも、安全を確保し、時間を計り、動画と記録を残して適切な診察につなげることが最も重要です。
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