猫の慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能や構造の異常が長期間続く病気です。特に高齢猫で多くみられ、一度失われた腎機能を完全に元へ戻すことは難しいため、早期発見と進行を遅らせる管理が大切です。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫の慢性腎臓病の初期症状
初期にはほとんど症状がないこともあります。比較的早くみられるのは、「水を飲む量が増えた」「尿の量が増えた」という変化です。進行すると、食欲低下、体重減少、嘔吐、脱水、元気の低下、口臭などがみられるようになります。高齢猫で少し痩せた、水をよく飲むようになったと感じたら、年齢のせいと決めつけず検査を受けましょう。
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血液検査だけでは分からないこともあります
腎臓病の評価では、クレアチニンやBUNだけでなく、SDMA、尿比重、尿タンパク、血圧、超音波検査などを組み合わせます。SDMAはクレアチニンより早く腎機能低下を捉えられることがあり、筋肉量の少ない高齢猫でも参考になります。尿を濃くする力が低下し、尿比重が下がることも早期発見の手掛かりです。
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慢性腎臓病は4つのステージに分けます
CKDと診断された猫では、IRIS分類を使ってステージ1~4に分けます。ステージが進むほど腎機能低下が強くなり、食欲低下や脱水、嘔吐などの症状も出やすくなります。
ただし、クレアチニンの数字だけで重症度を決めるわけではありません。SDMA、尿タンパク、血圧、体重、食欲なども含めて、その猫に必要な治療を考えます。
治療の基本は食事と水分管理
治療の中心は腎臓病用療法食と十分な水分摂取です。特にリンを適切に制限した療法食は、CKDの進行を遅らせるために重要です。ただし、療法食をまったく食べない状態が続くと体重や筋肉が落ちてしまうため、「食べられること」も大切です。
ウェットフードを利用する、水飲み場を増やすなど、水分を取りやすい環境も整えます。脱水が強い場合には皮下補液を行うことがあります。
薬は症状に合わせて使います
CKDだから全員が同じ薬を使うわけではありません。高血圧や蛋白尿、低カリウム血症、吐き気、食欲不振、貧血などがあれば、それぞれに合わせて薬を追加します。治療の目的は検査値を下げることだけではなく、食欲や体重を保ち、できるだけ普段どおり生活できる状態を維持することです。
まとめ
猫の慢性腎臓病は、早く見つけて残った腎機能をできるだけ長く守ることが重要です。高齢猫では症状がなくても定期的な血液検査と尿検査をおすすめします。「水をよく飲む」「尿が増えた」「痩せてきた」などの変化があれば、早めに動物病院へ相談しましょう。
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