秋の散歩では、銀杏、野生のきのこ、どんぐり、松ぼっくり、栗のイガなどが地面に落ちています。犬にとっては興味を引く「おもちゃ」に見えますが、中毒や消化管閉塞の原因になるものもあります。
特に拾い食いをする犬では注意しましょう。
→ 毒や犬と猫の違いに注意
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
銀杏を食べた場合
銀杏には、ビタミンB6の働きを妨げる4’-O-メチルピリドキシン(ギンコトキシン)という成分が含まれています。大量に摂取すると、嘔吐、下痢、ふらつき、震え、けいれんなどを起こす可能性があります。
犬では「何粒までなら安全」という明確な基準はありません。そのため、特に小型犬が複数の銀杏を食べた場合や、震え・ふらつきなどがみられる場合は早めに動物病院へ相談してください。
野生のきのこは食べさせない
公園や庭、山道などに生えている野生のきのこは、見た目だけで毒の有無を判断するのが非常に困難です。
毒きのこの種類によっては、嘔吐や下痢だけでなく、神経症状や重い肝障害を起こします。特にアマトキシンを含むきのこでは、最初に激しい嘔吐や下痢が起こり、その後いったん元気になったように見えてから肝障害が悪化することがあります。犬59頭を調べた報告でも、重い肝障害や低血糖、血液凝固異常が確認されています。
「元気だから大丈夫」と様子を見るのではなく、種類の分からない野生きのこを食べた場合は動物病院へ連絡しましょう。可能であれば、食べたきのこや生えていた場所をスマートフォンで撮影しておくと診断の参考になります。
どんぐりにも注意
どんぐりにはタンニンなどが含まれ、多量に食べると嘔吐や下痢などの消化器症状を起こし、まれに肝臓や腎臓に障害を起こすことがあります。犬でどんぐりの大量摂取後に急性腎障害と肝障害を発症した症例も報告されています。
さらに、どんぐりそのものが胃や腸に詰まる危険もあります。特に小型犬では、丸飲みしたどんぐりが消化管閉塞の原因になる可能性があります。
何度も吐く、食欲がない、お腹を痛がる、便が出ないといった症状がある場合は早めの受診が必要です。
→ 嘔吐のメカニズム|胃だけの問題ではありません
自宅で無理に吐かせないでください
誤食したときに、塩水やオキシドールなどを飲ませて自宅で吐かせようとするのは危険です。
何を食べたか、犬の状態、誤食からの時間によっては、そもそも吐かせてはいけない場合もあります。動物病院では状態を確認したうえで、必要に応じて催吐処置や内視鏡による摘出などを行います。犬の催吐には、獣医療用の薬剤も開発されています。
→ 緊急を要する飼い主様へ
誤食したときに確認すること
動物病院へ連絡するときは、「何を食べたか」「何個くらいか」「何時ごろ食べたか」「現在症状があるか」を伝えてください。残っている実物や写真があれば持参すると役立ちます。
秋は散歩しやすい季節ですが、地面には犬にとって危険なものも増えます。銀杏並木やきのこが生えている場所ではリードを短めに持ち、拾い食いをしやすい犬では散歩コースを変えることも有効です。
銀杏、野生きのこ、どんぐりなどを食べてしまった場合は、「症状が出てから」ではなく、まず動物病院へ相談しましょう。
▼ 犬や猫の誤食・中毒について
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