寒くなったり低気圧が近づいたりすると、変形性関節症の犬や猫で「朝なかなか立てない」「歩き始めがぎこちない」「散歩に行きたがらない」といった変化が目立つことがあります。人の変形性関節症では天候と痛みとの関連が報告されていますが、犬猫で低気圧そのものが痛みを起こす仕組みについては、まだ十分に分かっていません。
寒さによって末梢の血管が収縮すると、関節周囲の筋肉や腱も硬くなりやすくなります。また、寒い日は動物自身の活動量も減るため、長く休んだ後に関節がこわばり、動き始めに痛みが出やすくなります。関節をかばって周囲の筋肉に力が入ると、さらに動かしにくくなるという悪循環も生じます。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
冬は「動かないこと」にも注意
寒いからといって散歩や運動を極端に減らすことは、必ずしも関節に良いとは限りません。運動不足が続けば筋肉が落ち、関節を支える力も弱くなります。さらに消費カロリーが減った状態で食事量が変わらなければ体重が増え、関節への負担も大きくなります。
室内ではフローリングなどの滑る床にも注意が必要です。立ち上がるたびに足が滑ると、関節や筋肉に余計な力が加わります。滑り止めマットを敷き、暖かく厚みのある寝床を用意するとよいでしょう。
犬と猫ではサインが違います
犬では、跛行、散歩を嫌がる、階段や車の乗り降りをためらう、立ち上がるまで時間がかかる、といった変化が比較的分かりやすく現れます。
一方、猫は痛みを分かりやすく表さないことがあります。「高い場所に上らなくなった」「トイレの縁をまたぎたがらない」「毛づくろいが減って毛並みが悪くなった」「爪とぎをしなくなった」など、生活習慣の変化が関節痛のサインになることがあります。
寒い季節の関節ケア
変形性関節症では、完全に安静にするよりも、痛みの程度に合わせて無理のない運動を続けることが大切です。犬なら寒い早朝や夜間を避け、比較的暖かい時間に短めの散歩を行います。猫では段差を小さくしたり、ステップを置いたり、低い入口のトイレに変えたりすると生活しやすくなります。
痛みが強い場合には、体重管理や環境改善だけでなく、NSAIDsなどの鎮痛薬や、犬猫の変形性関節症に使用される抗NGF抗体製剤などを組み合わせて管理することがあります。寒くなるたびに動きが悪くなる場合は、「年齢のせい」と考えず、関節の痛みが隠れていないか一度確認してみましょう。
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