犬が下痢をすると、「下痢止めで便を止めたい」と考えるかもしれません。しかし、下痢に使われる薬やサプリメントは、すべて同じ働きをするわけではありません。また、便が固まることと、下痢の原因が治ることも別です。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
整腸剤、吸着剤、下痢止めの違い
「整腸剤」は幅広い呼び方です。プロバイオティクスは、生きた微生物を取り入れることで腸内細菌叢に働きかけることを期待して使われます。製品によって菌株、菌数、組み合わせが異なるため、すべてを同じものとして評価することはできません。
吸着剤は、腸管内の水分や物質を吸着し、便の性状を整える目的で使います。粘膜保護剤は、傷んだ粘膜の表面を覆って刺激を和らげることを期待する薬です。
いずれも腸の回復を補助するものであり、寄生虫、異物、膵炎などの原因そのものを治療する薬ではありません。
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腸管運動を抑え、内容物が通過する速度を遅くする薬もあります。ただし、感染性腸炎、腸閉塞、強い炎症などでは、腸の動きを抑えることが適さない場合があります。人用の下痢止めを自己判断で犬に飲ませないでください。
プロバイオティクスは効く?
2024年のENOVATガイドラインでは、犬の急性下痢に対するプロバイオティクスについて、使用を勧めるとも、勧めないとも結論づけていません。
複数の臨床試験をまとめても、下痢の期間を臨床的に意味のある程度まで短縮する効果は確認できず、一方で製品や菌株の違いが大きく、腸内細菌叢に良い変化が見られた研究もあるためです。
つまり、「整腸剤は必ず効く」「すべて意味がない」のどちらとも言い切れません。大切なのは、その薬を何のために使うのか、犬の状態に合っているかを考えることです。
便が固くなっても、元気がない、吐く、食べられない、腹痛がある場合は原因が解決していない可能性があります。整腸剤や下痢止めは、腸が再び水分や栄養を吸収できるようになるまで回復を支える選択肢の一つです。
次の記事では、下痢のときの食事と絶食について考えます。
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