輸血の副反応について整理したコンセンサスです。
輸血にまつわる悪影響のおさらいと、今後の研究報告を共通の基準で評価するための地ならし、という印象でした。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
輸血中は体温も測る
読み始めていきなり「発熱性非溶血性輸血反応(FNHTR)」が出てきてびっくりしました。
輸血中または輸血後に体温が上昇する副反応です。
これまで輸血をするときには心電図はつけていましたが、体温までモニターしていませんでした。
輸血中は心拍数や呼吸数、血圧だけでなく、体温も見ておいた方がよいのですね。
輸血しすぎによる循環過負荷
輸血で一度ヒヤッとしたことがあります。
放射線治療をしていた犬で貧血が進んだため輸血をお願いしたところ、次に診察したときには呼吸が速くなっていました。輸血関連循環過負荷(TACO)だったんでしょうね。
輸血後に呼吸が速くなった場合には、容量過剰による肺水腫も考える必要があります。
胸部X線だけでなく、心エコーで左房拡大など容量負荷の所見を見るという考え方は参考になりました。
犬の血液を猫に輸血すると長くはもたない
犬の血液を猫に異種輸血した研究も紹介されていました。
緊急時に犬血が猫へ輸血されることがありますが、輸血した犬赤血球の平均寿命はわずか3.6日でした。
さらに、再び犬血を輸血すると重篤な反応が起こることがあります。
「とりあえず一時的に赤血球を補う」治療であって、長く効果が続く輸血ではないのですね。
クエン酸中毒がある
クエン酸中毒という輸血副反応があることも知りませんでした。
血液製剤に含まれる抗凝固剤のクエン酸がカルシウムをキレートし、大量輸血などでは低イオン化カルシウム血症を起こすことがあります。
特に肝機能が低下している症例では、クエン酸を十分に代謝できないため注意が必要です。
大量輸血をするときには、イオン化カルシウムもモニターするということですね。
輸血でもGVHDが起こる
さらに驚いたのが、輸血関連移植片対宿主病(TA-GVHD)です。
輸血製剤中のドナーリンパ球が受血者の体内に生着し、受血者の組織を攻撃することで起こります。
皮疹、下痢、発熱、肝障害、骨髄低形成などがみられます。
同僚が採血した血液に放射線照射を考えていると言ってました。研究したいというだけではなく、このようなバックグラウンドがあったのかもしれません。
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