「安全な麻酔薬があるのではない。安全な麻酔手技があるのでもない。安全な麻酔担当者がいるだけである。」
今回のガイドラインを読んで、一番印象に残った考え方です。
麻酔の安全性は、どの薬を使うかだけではなく、麻酔前の評価、機器の準備、鎮痛、モニタリング、覚醒管理、そしてスタッフの教育まで含めて考える必要があります。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
血液検査は3~6か月以内がひとつの目安
正常だった血液検査をいつまで有効とみなすかについて、明確なエビデンスはありません。
そのうえで、健康で臨床的に問題がなければ、3~6か月以内を妥当な目安としています。
異常値がある、あるいは健康状態に変化がある場合は、麻酔直前に再検査します。
麻酔当日はACE阻害薬を中止
麻酔当日に中止する薬として挙げられているのが、降圧薬、特にACE阻害薬のエナラプリルやベナゼプリルです。
一方、ピモベンダンやフロセミドなどは継続する薬として挙げられています。
遅い時間の麻酔はリスクが高くなる
遅い時間帯や時間外に行う麻酔では、麻酔リスクが高かったという報告も紹介されています。
以前、医療事故について調べていたときにもこのようなことを聞き、金曜日の麻酔処置は慎重に、と思ったことがあります。
理由として、十分な安定化時間が取れない、スタッフが少ない、スタッフが疲労している、といった要因が考えられています。
麻酔は薬だけではなく、「いつ、どのような体制で行うか」も安全性に関係するということですね。
麻酔関連死亡は術後最初の3時間に多い
麻酔関連死亡は手術中だけに起こるわけではありません。
犬では約47%、猫では約60%が術後期間に発生し、その多くは最初の3時間以内です。
そのため、覚醒したから監視を緩めるのではなく、覚醒後も麻酔中と同じように注意深く観察する必要があります。
健康な犬猫では水は自由、食事は4~6時間絶食
健康な成犬・成猫では、水は基本的に自由に飲ませ、食事の絶食は4~6時間程度とされています。
従来のように前日の夜から長時間絶食させる、という考え方ではありません。
薬剤量は除脂肪体重を基準にする
麻酔当日には正確な体重を測定します。
また、薬剤量は原則としてlean body weight、つまり除脂肪体重を基準にします。
肥満動物で実体重だけを基準にすると、麻酔薬を過量投与する可能性があるという考え方です。
緊急薬は麻酔前に計算しておく
もう一つ、実際の診療に取り入れたいのが、患者ごとの緊急薬の用量を麻酔前に計算しておくことです。
緊急時にその場で体重を確認して計算するのではなく、あらかじめ麻酔記録やチェックリストに記載しておく。
これはそのまま動物病院の麻酔チェックリストに組み込めそうです。
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