手術後の抗生物質は「おまじない?」

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

とりあえず、抗生物質?

お薬といえば、抗生物質かステロイド、という印象を持ってました。それが、腫瘍診療、放射線治療と移ろうにつれ抗生物質を処方する機会がなくなり。

ところが、耐性菌のことを何気なく学会で聞いたり、ニュースで聞くようになり、さらには論文を書く段で乱用してないことに言及しなくてはならなくなったり。

手術する前に抗生物質を注射するのは、WHOの外科チェックリストにありました。そのまま使い続けるのかと思ってましたが。術後は使わなくてもリスクはあまり変わらない、というのが本論文の結論。

抗生物質は必要なとき

逆に耐性菌を増やすだけの結果になっていたかもしれない。予防ではなく、感染が見つかったときに適切な治療の方が望ましいのでしょう。

手術で抗生物質を使わないという選択肢は考えられなかったので、盲検する勇気はないのですが、ここまでエビデンスが揃うと、抗生物質というおまじないは、なくてもいいのですね。

Sørensen TM, Scahill K, Weese JS, Allerton F, Jessen LR; from the European Network for Optimization of Antimicrobial Therapy (ENOVAT) guidelines and the ESCMID Study Group for Veterinary Microbiology (ESGVM). Efficacy of antimicrobial prophylaxis on the risk of surgical site infections in companion animal surgery: a systematic review and meta-analysis for European Network for Optimization of Antimicrobial Therapy (ENOVAT) guidelines. J Small Anim Pract. 2026 Feb 18.

要約

目的:他の抗菌薬の使用と同様に、外科的抗菌薬予防は、その有益性が潜在的な害を上回る場合にのみ実施されるべきである。本システマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は、犬および猫における外科的抗菌薬予防の手術部位感染低減への有効性を評価することであった。

材料および方法:対象集団、介入、比較対照、およびアウトカムは、多職種からなるガイドライン委員会によって作成され、臨床判断基準は関係者へのインタビューから得られた。エビデンスの確実性を評価するために、勧告の評価、開発、および評価のグレーディング手法を用いた。

結果:8件のランダム化比較試験と7件の観察研究が適格基準を満たし、本レビューに組み入れられた。器官系および創傷分類に基づいて9つの外科手術カテゴリーが作成され、アウトカムには手術部位感染、有害事象、および死亡率が含まれた。非常に低い確実性から中等度の確実性のエビデンスから、外科的抗菌薬予防は、すべての外科手術における手術部位感染発生率に対して、軽微またはわずかな臨床効果しか及ぼさないことが示された。いずれの研究においても、手術部位感染に関連する有害事象や死亡は報告されていません。

臨床的意義:本研究の結果は、エビデンスに基づく治療ガイドラインの作成に活用されます。

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