アポキル(一般名:オクラシチニブ)は、犬のアレルギー性皮膚炎やかゆみの治療に広く使われている薬です。
実は猫でも、強いかゆみやアレルギー性皮膚炎に対して使用されることがあります。ただし、猫では正式に承認された薬ではなく、獣医師の判断による「適応外使用」になります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫では犬より多めの量が必要になることがあります
猫ではアポキルが体から抜ける速度が犬より速いため、犬と同じ量では十分な効果が得られないことがあります。
犬では通常0.4~0.6 mg/kgを使用しますが、猫の研究では約1 mg/kgを1日2回から開始する方法が多く報告されています。
つまり、体重あたりでは犬の約2倍がひとつの目安です。
その後、症状が落ち着けば1日1回に減らせる猫もいます。一方で、1日2回を続けないとかゆみが再発する猫もいます。
どんな猫に使う?
主に、猫のアトピー性皮膚症候群など、慢性的なかゆみを起こす皮膚病で使用が検討されます。
ステロイドはよく効きますが、長期間使用すると糖尿病などの副作用が問題になることがあります。シクロスポリンという別の薬もありますが、効き始めるまで時間がかかったり、投薬を嫌がったりする猫もいます。
アポキルは比較的早く効果が出るため、こうした猫で選択肢になることがあります。
副作用は?
多くの猫では大きな問題なく使用されていますが、嘔吐や下痢、元気の低下などがみられることがあります。
また、免疫に関係する薬なので、まれに白血球が減ったり、感染症が悪化したりする可能性もあります。長期間使用する場合には、定期的な血液検査をおすすめします。
猫では「使える薬」だが、慎重に
アポキルは猫専用の薬ではありませんが、近年は猫でも有効性を示す研究が増えています。
ただし、「かゆいからとりあえずアポキル」ではなく、ノミ、食物アレルギー、感染症など、かゆみの原因を確認したうえで使用することが大切です。
猫によって必要な量や投与回数も異なるため、必ず獣医師の診察と管理のもとで使用しましょう。
