▼ 現在地:腫瘍 > 本記事
▼ カテゴリー
症状|検査|腫瘍|治療|ケア|その他
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
犬や猫は、癌があっても元気に見えることがあります。腫瘍は小さいうちから強い症状を出すとは限らず、食欲や元気は保たれています。
癌でもすぐに具合が悪くなるとは限らない
癌と聞くと、すぐにぐったりする、食べない、痩せる、といった姿を想像するかもしれません。しかし、実際にはしこりがあっても普段通りに散歩し、食欲もあり、元気に過ごしている犬や猫は多くいます。
腫瘍は、できた場所や種類によって症状の出方が大きく違います。皮膚のしこりのように、体の表面にできる腫瘍では、最初は全身状態にほとんど影響しないことがあります。
症状は「大きさ」だけで決まらない
小さな腫瘍でも、場所が悪ければ症状が出ます。鼻の中、口の中、喉、腸、尿道、気道などにできる腫瘍では、比較的小さくても、鼻血、食べづらさ、呼吸の苦しさ、嘔吐、排尿障害などが出ることがあります。
一方で、大きな腫瘍でも、体の外側や広い空間にできている場合は、元気なことがあります。つまり、症状は腫瘍の大きさだけではなく、「どこにあるか」「何を邪魔しているか」で変わります。
転移していても元気なことがある
肺に小さな転移があっても、初期には咳や呼吸困難は出ません。リンパ節が腫れていても、痛みがなければ普通に過ごすことができます。
そのため、見た目の元気さだけで、進行度を判断することはできません。ステージを確認するために、レントゲン、超音波、CT、血液検査などを組み合わせます。
急に悪くなることもある
元気そうだったのに、急に体調を崩すこともあります。腫瘍が破裂する、出血する、腸を詰まらせる、気道を圧迫する、胸水や腹水がたまる、といった変化が起こるためです。
また、腫瘍随伴症候群といって、腫瘍そのものの大きさとは別に、高カルシウム血症、低血糖、貧血、DICなどが起こることもあります。この場合、腫瘍の場所よりも全身の異常として症状が出ます。
元気なうちに考える意味
元気なうちに見つかった腫瘍は、治療を考える余地があります。手術、抗がん剤、放射線治療、経過観察、緩和ケアなど、選択肢を整理しやすいからです。
反対に、食べられない、呼吸が苦しい、出血している、強い痛みがある状態になってからでは、選べる治療が限られることがあります。
まとめ
犬や猫は、癌があっても元気なことが多い。ただ、元気だから安心、元気だから悪くない、とは判断できません。
元気かどうかだけでなく、腫瘍の種類、場所、大きさ、転移の有無、全身への影響を見て今後を考えましょう。元気なうちに調べることで、無理のない選択肢を残せることがあります。
▼ 関連記事
→ 臨床ステージ分類、1~5の分類
→ ギフトタイム(大切な時間)とは何か
→ 高齢犬のがん治療はどこまでやるべきか
▼ 腫瘍の記事をカテゴリーから探す
症状|検査|腫瘍|治療|ケア|その他