ペットが「がん」と診断されたあとに訪れる時間 ギフトタイム(大切な時間)とは何か

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

がんと診断されたあとは、「残された時間」ではなく、“できるだけ良い状態で過ごすための、大切な時間”です。

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余命という言葉では表せない時間が始まる 

がんと聞いたとき、多くの方が思い浮かべるのは「あとどれくらいですか?」という問いです。時間を知ることで、心の準備をしたい。これはとても自然な反応です。ただ実際には、そのあとに続く日々は、単なる“余命”ではありません。朝、いつも通りに起きてくる。ごはんを食べる。いつもの場所で安心して眠る。その何気ない一つひとつのことが、少しだけ違って見えるようになります。  

ギフトタイム=大切な時間と考える

この時間を、ギフトタイムと呼ぶことがあります。ここでは、「大切な時間」と考えると、より本質に近いかもしれません。

大切な時間は「与えられ」、そして「つくられる」  

この時間には、ひとつ大切な前提があります。それは、本来の自分らしく過ごせていることです。痛みが強くないこと。呼吸が苦しくないこと。食べることができること。家族のそばで安心していられること。こうした状態が保たれているとき、その時間は“ただ延びている時間”ではなく、意味のある時間になります。  

そしてもう一つ、大切な視点があります。この時間は、与えられるものでもあり、同時に、関わり方によって形が変わるものでもあるということです。どの治療を選ぶか。どこまで負担をかけるか。どんな日常を一緒に過ごすか。そうした一つひとつの選択によって、その時間の過ごしやすさや穏やかさは変わっていきます。  

どの治療を選ぶかより「どう過ごすか」

治療には、いくつかの選択肢があります。手術抗がん剤放射線治療。あるいは、腫瘍に対する治療を行わない(腫瘍とは戦わない)。それは、体力を落とさないよう、痛みを取る栄養に気を使う、ステロイドで多幸感をもたらす、などがあります。どれを選ぶか以上に大切なのは、どんな時間を過ごせるかです。

生活の質を保つための考え方は緩和ケアと看取りにまとめています。

治療のもう一つの目的

だから私たちは、病気そのものだけでなく、その時間をどう作るかを一緒に考えます。がんと診断されたあとも、日常は続きます。その日常を、ただ過ぎていくものにするのか、大切な時間として過ごすのか。それは、誰かに評価されるものではありません。ただ、ご家族にとって穏やかであるかどうかが、ひとつの目安になります。治療の目的は、病気を消すことだけではありません。いっしょに過ごす時間を、よりよいものにすること。それもまた、大切な医療のひとつです。

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