Treatment of Canine Atopic Dermatitis: Updated Guidelines From the International Committee on Allergic Diseases of Animals (ICADA) 2026を読んで

2015年版から大幅に改訂された犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインです。

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

治療を2段階に分ける

今回の大きな変更点は、治療を次の2段階に分けることです。

反応的治療:現在の痒みと皮膚病変を改善し、完全な寛解を目指す。

積極的維持治療:寛解後も治療を継続して再燃を予防する。

痒くなったら薬を使うのではなく、痒くならないように管理するという考え方です。

急性増悪にはステロイドが重要

急性増悪時には、速やかで幅広い抗炎症作用を持つグルココルチコイドが推奨されています。

アポキルやサイトポイントも有効ですが、痒みが改善しても皮膚の炎症が十分に改善するとは限りません。

特に慢性外耳炎や肢端皮膚炎では、追加の抗炎症治療が必要になることがあります。

初期治療では、痒みと皮膚病変が十分に消失してから維持治療に移行します。

シャンプーは洗うこと自体に意味がある

定期的なシャンプーは、皮膚の保湿、アレルゲンや汚れの除去、細菌やマラセチアの管理に役立ちます。

週1回程度のシャンプーが補助療法として推奨されています。

興味深いのは、有効成分を含むシャンプーと基剤だけのシャンプーで、どちらも痒みが改善した研究です。

「何で洗うか」だけではなく、「洗うこと自体」に治療的な意味があるようです。

二次感染には外用消毒薬を優先

細菌性皮膚感染症では、全身性抗菌薬より外用消毒薬を第一選択とします。

クロルヘキシジンは代表的な外用消毒成分です。

過酸化ベンゾイルも使用されますが、皮膚を強く乾燥させるため、アトピー性皮膚炎では注意が必要です。

全身性抗菌薬は、深在性膿皮症や外用療法が無効・不適切な場合などに限定します。

また、マラセチアや細菌は、細胞診で確認された数だけで治療を判断するのではなく、皮膚病変や炎症との関連を評価します。

食物アレルギーのIgE・IgG検査は信頼できない

食物アレルギーの血清IgE・IgG検査では、食物有害反応のある犬とそうでない犬を確実に区別できません。

そのため、通年性のアトピー性皮膚炎では、6~10週間の除去食試験と、その後の負荷試験が推奨されています。

過去に除去食試験で食物アレルギーが否定的だった犬でも、後から新たな食物過敏症を発症する可能性があります。

週2日だけの外用ステロイドで再燃を予防

今回のガイドラインで特に実用的だと思った内容です。

ヒドロコルチゾンアセポン酸エステルを、寛解後も週2日連続して使用したRCTでは、再燃までの期間の中央値がプラセボ群の33日から115日に延長しました。

症状が消えた皮膚にも、目に見えない炎症が残っている可能性があります。

耳や趾間など、決まった場所に繰り返し炎症が起こる犬では、外用ステロイドによる積極的維持治療が有効と考えられます。

長期使用では、安全性の面からヒドロコルチゾンアセポン酸エステルなどが優先されます。

まとめ

今回のガイドラインは、新しい薬剤を推奨するだけではなく、治療の進め方を見直しています。

まず炎症と痒みを十分に抑え、完全な寛解を目指す。その後は薬剤の種類や使用頻度を調整しながら再燃を防ぐ。

特に、外用ステロイドを使った維持治療は、日常診療に取り入れたい考え方です。

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