猫の心筋症では、HCM(Hypertrophic Cardiomyopathy:肥大型心筋症)、RCM(Restrictive Cardiomyopathy:拘束型心筋症)などの病型分類だけでなく、現在どのステージにいるかを評価することが治療上重要とされています。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫のA、B1、B2、C、D分類はわかりやすい
猫の心筋症も、A、B1、B2、C、Dにステージ分類します。
B1は心筋症があるものの、CHF(Congestive Heart Failure:うっ血性心不全)やATE(Arterial Thromboembolism:動脈血栓塞栓症)のリスクが低い猫。
B2は、そのリスクが高くなった猫です。
大まかなイメージとしては、
B1=左房がそれほど大きくない
B2=左房が中等度~重度に大きい
と考えると理解しやすいです。
もちろん左房サイズだけで決めるわけではありませんが、左房の大きさが予後や治療方針を考えるうえで非常に重要だということがよく分かります。
病型より、症状と検査所見で治療を決める
このコンセンサスでは、心筋症はphenotype(表現型)で分類する一方、治療管理では心筋症のタイプよりステージの方が重要としています。
つまり、HCMかRCMかという病名だけで薬を決めるのではなく、左房拡大、CHF、ATE、収縮機能低下、LVOTO(Left Ventricular Outflow Tract Obstruction:左室流出路閉塞)など、その猫に現在何が起きているかを見て治療を決めます。
NT-proBNPは呼吸困難の鑑別に使える
NT-proBNP(N-terminal pro-B-type Natriuretic Peptide:N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)は、呼吸困難の猫で、心臓性か非心臓性かを区別するのに有用です。
ただし、正常だから軽度の心筋症まで否定できるわけではありません。
無症候性心筋症のスクリーニングというより、進行した心疾患やCHFを疑う場面で役立つ検査と考えると分かりやすいです。
心エコーは目的によって検査レベルを変える
心エコーをすべて同じレベルで行う必要はありません。
不安定な猫ではFocused point-of-care scanとして、胸水、B-lines、左房サイズ、左室収縮機能などを短時間で確認します。
通常の診断ではStandard of careとして、左室壁厚、LA/Ao(Left Atrium to Aorta ratio:左房大動脈比)、SAM(Systolic Anterior Motion:僧帽弁前尖の収縮期前方運動)、SEC(Spontaneous Echocardiographic Contrast:自発性エコーコントラスト)などを評価します。
さらに詳しく調べる場合には、DopplerやTissue Doppler Imaging(組織ドプラ法)、左心耳血流速度まで評価します。
「すべての猫に完璧な心エコーをする」のではなく、その猫の状態と検査目的に応じて心エコーのレベルを変える。
これも一般診療では使いやすい考え方だと思います。
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