猫の不適切排泄について、主に行動学的な側面から診断と対応をまとめたガイドラインです。
ただし、いきなり「行動の問題」と判断するのではなく、膀胱炎や尿石症などの医学的原因を除外したうえで、FIC、マーキング、トイレ環境、猫同士の関係などを評価していきます。
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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫の不適切排泄は、日常診療で一言聞いてみる
ワクチンや健診で来た猫でも、
「トイレ以外でおしっこや便をすることはありませんか?」
と一言聞くだけで、飼い主が問題として認識していなかった不適切排泄を早期に拾える可能性があります。
猫の不適切排泄は、単なる「しつけ」の問題ではありません。医学的原因、FIC(猫特発性膀胱炎)、マーキング、環境・社会的要因などを考えていきます。
家の間取り図を書いてもらう
飼い主に家の間取り図を書いてもらうことも勧めています。
尿や便をした場所、トイレの位置、猫同士が接触する場所、人の往来が多い場所などを確認します。
どこで排泄しているかだけでなく、トイレまで安全に行けるか、途中で他の猫と鉢合わせしないかなども重要です。
尿の不適切排泄では、まず医学的原因を除外する
尿検査は尿沈渣を含めて評価します。特に尿沈渣は、採尿後30~60分以内に検査することが推奨されています。
尿培養は膀胱穿刺尿で行います。
尿比重が継続して1.030未満であれば、CBCと血液生化学検査を行い、8歳を超える猫ではT4も評価します。
また、多くの研究では、膀胱結石は細菌性膀胱炎より多く診断されるため、腹部X線検査も推奨されています。
FICは除外診断
尿検査や画像検査などで、尿石、尿路感染、腫瘍などの原因が見つからなくても、FICは否定できません。
FICには単独で確定できる検査がないため、他の原因を除外して診断します。
つまり、
「検査が正常だから行動の問題」
とは限りません。
猫砂は人間ではなく、猫の好みで選ぶ
猫は香料入りの砂や消臭剤を嫌うことがあります。
基本的に推奨されるのは、細かく、砂状で、無香料、固まるタイプの猫砂です。
ただし猫ごとに好みは違うため、複数の砂やトイレを用意して、猫自身に選ばせる方法も勧められています。
尿のトラブルでは猫同士の関係も確認する
多頭飼育では、他の猫との関係が不適切排泄やマーキングに関与することがあります。
喧嘩しているかどうかだけでなく、トイレまでの通路を他の猫が塞いでいないか、じっと見つめられていないか、安心して排泄できる場所があるかまで確認します。
猫同士の関係では、派手な喧嘩がなくても、通路を塞ぐ、見張る、資源へのアクセスを制限するといった静かな圧力が問題になることがあります。
尿のトラブルでは膀胱だけを見るのではなく、病気、トイレ、生活環境、猫同士の関係をまとめて評価することが重要、という内容でした。
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