猫の特発性膀胱炎(FIC)|ストレスとの関係・治療と再発予防

猫が何度もトイレに行く、少ししか尿が出ない、血尿が出る。このような症状の原因として、猫では特発性膀胱炎(FIC:Feline Idiopathic Cystitis)がよくみられます。

「特発性」とは、検査をしても尿路結石や細菌感染、腫瘍などの明らかな原因が見つからない、という意味です。単に膀胱だけの病気ではなく、猫のストレスに対する反応や神経系、生活環境などが複雑に関係していると考えられています。

以前は、こうした猫の排尿症状をまとめてFUS(猫泌尿器症候群)と呼んでいました。現在は猫下部尿路疾患(FLUTD)という総称が使われ、その原因の一つとして特発性膀胱炎(FIC)が位置づけられています。

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

特発性膀胱炎ではどんな症状が出る?

何度もトイレに行く、少量ずつしか尿が出ない、排尿時に力む、血尿が出る、トイレ以外で排尿する、陰部を繰り返し舐める、といった症状がみられます。

ただし、同じ症状は尿路結石、細菌性膀胱炎、尿道閉塞などでも起こります。そのため、症状だけで特発性膀胱炎と決めることはできません。

尿検査で血液、結晶、細菌などを確認し、必要に応じて尿培養、レントゲン検査、超音波検査を行います。特に高齢猫で血尿が長引く、短期間に何度も再発する場合は、ほかの病気がないかあらためて調べることが大切です。
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なぜストレスが関係するの?

特発性膀胱炎は、単に「ストレスで膀胱に炎症が起こる」という病気ではありません。

猫が不安や脅威を感じたときの脳、自律神経、ホルモンの反応と、膀胱の神経や粘膜が複雑に関係していると考えられています。「ストレスで細菌が増えて膀胱炎になる」わけではありません。

引っ越し、来客、騒音、新しい猫、同居猫との緊張、トイレの変更、留守番時間の増加など、人には小さく見える変化でも猫には負担になることがあります。

特発性膀胱炎はどうやって治療する?

特発性膀胱炎には、すべての猫に共通する特効薬はありません。急性期では、まず痛みをやわらげることが大切です。

状態に応じてブプレノルフィンなどの鎮痛薬を使用します。NSAIDsを使うこともありますが、脱水の有無や腎機能、全身状態などを確認して判断します。

同時に、水分摂取量を増やすことも重要です。ウェットフードを利用する、水飲み場を増やす、器の形や置き場所を変えるなど、その猫が無理なく水分を取れる方法を探します。

特発性膀胱炎では通常、細菌感染が原因として確認されないため、抗菌薬は基本的な治療ではありません。尿検査や尿培養で細菌感染が確認された場合に使用します。ステロイドも一般的な治療ではありません。

再発を防ぐMEMOとは?

特発性膀胱炎は、症状が落ち着いたあとも再発することがあります。長期的な管理で重要なのが、MEMO(多面的環境改善)です。

大切なのは、単に「ストレスをなくす」ことではなく、猫が安心できる場所や行動を自分で選べる環境を整えることです。

隠れられる場所や高い場所を用意し、トイレ、水飲み場、食事場所を静かな場所に分散させます。多頭飼育では、数を増やすだけでなく、ほかの猫に邪魔されず利用できる配置になっているかも確認します。

すべてを一度に変えるのではなく、その猫が困っている可能性の高い部分から少しずつ見直します。
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雄猫で尿が出ないときは緊急

何度もトイレに行っているのに尿がほとんど出ていない、数滴しか出ない場合は、尿道閉塞の可能性があります。

特に雄猫では、完全に閉塞すると腎機能の悪化や高カリウム血症を起こし、命に関わることがあります。

「何度もトイレに行っている=尿が出ている」ではありません。 実際に尿の塊ができているかを確認し、出ていない可能性がある場合は、すぐに動物病院へ相談してください。
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特発性膀胱炎は膀胱だけを治す病気ではない

猫の特発性膀胱炎では、急性期の痛みを治療し、水分摂取量を増やします。長期的には、猫が安心して生活できる環境を整えることが大切です。

血尿や頻尿は膀胱に現れる症状ですが、その背景には猫のストレスへの反応や生活環境が関係していることがあります。

症状が再発した場合も、毎回必ず特発性膀胱炎とは限りません。尿が出ているかを確認し、症状に応じて動物病院へ相談してください。

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