犬と猫の血尿。膀胱炎だけではなく腫瘍かも

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

血尿といえば膀胱炎や結石というイメージがありますが、高齢動物では「腫瘍」が隠れていることがあります。血尿が続く、何度も再発する、抗生剤で改善しない、排尿しづらそう、尿が細い、頻尿を伴う場合は注意が必要です。血尿は「尿路からの出血」というサインであり、原因をきちんと探すことが重要です。

血尿で疑う代表的な腫瘍

もっとも代表的なのは、「移行上皮癌」です。膀胱の出口付近(膀胱三角部)にできやすく、血尿、頻尿、排尿困難を起こします。初期は普通の膀胱炎と区別しにくく、「抗生剤を飲むと少し良くなるが再発する」を繰り返すこともあります。進行すると尿道が狭くなり、尿が出にくくなることがあります。

猫では膀胱腫瘍は犬ほど多くありませんが、高齢猫ではゼロではありません。血尿が長引く場合には超音波検査などで確認します。

腎臓の腫瘍でも血尿が出ることがあります。腎細胞癌、リンパ腫、血管肉腫などでは、腎臓内部から出血し、尿に血が混ざります。この場合、食欲低下、体重減少、元気消失を伴うこともあります。

前立腺腫瘍も重要です。血尿に加えて排便困難や歩き方の異常が出ることがあります。前立腺は骨盤の中にあるため、大きくなると直腸を圧迫し、便が細くなることもあります。

「真っ赤な尿」だけが血尿ではありません

飼い主さんが気づくのは真っ赤な尿だけとは限りません。尿の最後に血がつく、ピンク色、茶色っぽい、トイレシートに少量の血がつく程度のこともあります。顕微鏡で初めて分かる「潜血」の場合もあります。

また、雌犬では発情出血、猫では膀胱炎、雄犬では前立腺疾患など、見た目だけで原因を区別するのは困難です。血尿が数日で止まっても、「一度だけだから大丈夫」とは言い切れません。

検査はどう進める?

まず尿検査で、炎症、細菌、結晶、出血の程度を確認します。そのうえで超音波検査を行うと、膀胱壁の肥厚、腫瘤、結石などを確認できます。レントゲンでは見えにくい病変も、超音波では見つかることがあります。

ただし、膀胱内の血の塊と腫瘍の区別が難しいこともあります。また、膀胱にできる腫瘍は細胞採取が難しく、無理に針を刺すと腫瘍をばら撒く可能性があります。

血尿は「様子見」で長引かせない

血尿の原因は膀胱炎だけではありません。とくに高齢で繰り返す血尿、排尿しづらさを伴う血尿では、腫瘍を含めた評価が重要です。早期に見つかれば、治療選択肢が広がることがあります。「とりあえず抗生剤」で長期間様子を見るより、一度しっかり画像検査を受けることが大切です。

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