猫が引っ越しで落ち着かない、動物病院を怖がる、同居猫とけんかをする。そんなときに、合成フェロモンが役立つことがあります。
合成フェロモンは、猫が自然に分泌するフェロモンを人工的に再現した製品です。猫に安心感を与える環境づくりを目的としています。代表的な製品に「フェリウェイ」があります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
どんなときに使う?
- 引っ越しや模様替えなど、環境が変わるとき
- キャリーケースや動物病院への移動
- 同居猫同士の緊張やけんか
- 尿スプレーなどのマーキング行動
製品にはスプレータイプや、コンセントに差し込む拡散器タイプがあります。キャリーなど限られた場所にはスプレー、家庭内で継続して使う場合には拡散器が利用されます。
効果はあるの?
研究では、特定の状況でストレス関連行動が改善したという報告がありますが、効果には個体差があり、すべての猫に効くわけではありません。アマゾンの製品レビューを見ても高評価も多いものの低評価もありました。
また、合成フェロモンは鎮静薬ではありません。猫を眠らせるものではなく、強い恐怖や攻撃性をすぐに抑えることもできません。
環境づくりと一緒に
フェロモンだけに頼らず、隠れ場所や高い場所を用意し、同居猫が互いに距離を取れる環境を整えることが大切です。移動が苦手な猫には、普段からキャリーケースに慣らす練習も役立ちます。
強い恐怖がある場合には、犬や猫が動物病院を嫌がるときの対策も参考にしてください。
フェリウェイが発売された当初は、主に猫の室内での尿マーキング対策として紹介されていました。私も、これほど広く知られる製品になるとは思ってもみませんでした。
急に攻撃的になったり、トイレ以外で排尿したりする場合は、痛みや膀胱炎などの病気が隠れていることもあります。行動の変化が続くときは、動物病院へ相談してください。
→ 猫の特発性膀胱炎(FIC)|ストレスとの関係・治療と再発予防
合成フェロモンは、猫のストレス対策を助ける道具の一つです。環境調整や必要な治療と組み合わせて利用しましょう。
