糞便検査は「持ってくるまで」が大切です

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

犬や猫の糞便検査では、検査方法だけでなく、採取してから病院へ持参するまでの扱いが結果に大きく影響します。便が乾燥したり、長時間高温に置かれたりすると、原虫の運動性が失われたり、細菌が増殖したりして、本来見つかるはずの異常を確認できないことがあります。

できるだけ新鮮な便を持参してください

理想は排便後2時間以内です。 すぐに来院できない場合は、乾燥しないよう密閉して冷蔵保存し、できれば当日中に持参してください。一般的な顕微鏡検査を目的とする場合、冷凍は避けます。

量は親指の先~ティースプーン1杯程度あれば検査できますが、可能なら便全体を持参してください。 便の色、形、量、臭い、表面に付着した血液や粘液なども重要な情報です。特に大腸性の下痢では、便の表面や最後の部分だけに鮮血や粘液が付くことがあります。

便はラップやビニール袋に入れます

ラップ、ビニール袋、清潔な密閉容器などに入れてください。 ティッシュやトイレットペーパー、キッチンペーパーは水分や粘液を吸収し、便が乾燥するため避けた方がよいでしょう。臭いが気になる場合は袋を二重にすると安心です。

水様便でも捨てずに持参してください。 ペットシーツに排泄した場合は、便が付着した部分を切り取って袋に入れても構いません。うまく採取できない場合は、排泄直後の便をスマートフォンで撮影しておくと診察の参考になります。
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保存する場合は冷蔵してください

夏場の車内など高温になる場所への放置は避けてください。 すぐに持参できなければ冷蔵庫で保存し、移動時は保冷バッグを利用するとよいでしょう。

犬では土や草、猫では猫砂の混入をなるべく避けます。 屋外で排泄した犬では地面に触れていない部分を、猫砂が付いた便では中心部分を採取します。ただし、猫がトイレ環境の変更を嫌がる場合は、無理に砂を外す必要はありません。

1回の検便で異常が見つからないこともあります

糞便検査では、直接塗抹法、浮遊法、抗原検査、PCR検査などを症状に応じて使い分けます。寄生虫や原虫は毎回便に排出されるとは限らないため、1回の検便が陰性でも感染を完全には否定できません。 下痢が続く場合には、日を変えて再検査したり、外注検査を追加したりすることがあります。

便は少し多めでも大丈夫です

検便で大切なのは、「新鮮な便を、乾燥させず、できるだけそのまま持ってくる」ことです。「少し多いかな」と思うくらいでも問題ありません。便の色や形、血液や粘液の付き方まで含めて、便そのものが診断に役立つ大切な情報です。

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