犬や猫の傷が治らないとき。考えられる原因と治療の考え方

犬や猫の傷は、多くの場合、時間とともに少しずつ治っていきます。ところが、いつまでも赤い、じくじくする、膿が出る、かさぶたを繰り返す、いったん良くなってもまた開く、ということがあります。

このような場合、「傷が大きいから治らない」とは限りません。傷の中に感染が残っていることもありますし、犬や猫が舐めたり掻いたりして治りかけた部分を壊していることもあります。皮膚病、ホルモンの病気、免疫の病気、腫瘍が隠れていることもあります。

見た目より深い傷があります

特に注意が必要なのは、咬み傷です。犬や猫に咬まれた傷は、皮膚の表面だけ見ると小さな穴に見えることがあります。しかし、皮膚の下では広く組織が傷つき、ポケットのような空間ができていることがあります。

この中に細菌が入り込むと、外からは小さな傷に見えても、皮膚の下で膿がたまったり、組織が壊死したりすることがあります。数日してから急に腫れる、痛がる、皮膚が破れて膿が出る、元気や食欲が落ちる、という経過をとることもあります。

この場合、表面に薬を塗るだけでは治りません。毛を刈って傷の範囲を確認し、洗浄し、膿を出し、必要に応じて壊死した組織を取り除く処置が必要になります。

舐める・掻くことで治りにくくなります

犬や猫は、傷に違和感があると舐めます。かゆければ掻きます。痛い場所を気にして噛むこともあります。

人から見ると「きれいにしている」ように見えるかもしれませんが、実際には治りかけた皮膚を壊し、口の中の細菌を傷に入れてしまうことがあります。傷が治らないときは、エリザベスカラー、術後服、包帯などで、物理的に触れないようにすることが大切です。

消毒して乾かせばよい、とは限りません

昔は、傷は消毒して乾かすもの、かさぶたができれば治っている、という考え方が一般的でした。今は少し違います。

強い消毒薬は、細菌だけでなく、傷を治すために必要な細胞にもダメージを与えることがあります。また、傷が乾きすぎると、皮膚の細胞が移動しにくくなります。かさぶたも、場合によっては治癒の邪魔になることがあります。

現在の創傷管理では、汚れや細菌を洗い流し、必要な湿り気を保ちながら治す「湿潤環境」を意識します。ただし、すべての傷を家庭で湿らせればよい、という意味ではありません。感染している傷、深い傷、膿がある傷、壊死がある傷では、まず動物病院での評価が必要です。

傷が治らない背景に病気があることもあります

局所の処置をしても傷が治らない場合、体の中に治癒を妨げる原因があることがあります。

たとえば、アレルギー性皮膚炎では、かゆみによって皮膚を掻き壊します。クッシング症候群や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患では、皮膚が薄くなったり、感染に弱くなったりします。免疫の病気では、皮膚そのものに炎症や潰瘍が起こることがあります。

頬の傷の場合、歯周病が原因で再発を繰り返すことがあります。

また、治らない傷だと思っていたものが、実は腫瘍だったということもあります。肥満細胞腫、扁平上皮癌、乳腺腫瘍、軟部組織肉腫などは、表面が崩れて出血したり、じくじくしたりすることがあります。

数週間たっても治らない傷、同じ場所で何度も崩れる傷、しこりを伴う傷では、細胞診や病理検査を考えます。

治療は、塗り薬だけではありません

傷の治療では、塗り薬だけでなく、原因に応じていくつかの処置を組み合わせます。

毛を刈って範囲を確認する、洗浄する、壊死した組織を取り除く、膿を外に出す、抗菌薬を使う、痛みを抑える、舐めないようにする、基礎疾患を調べる。これらを順番に整理していきます。

大きな皮膚欠損や、深いポケットを伴う傷では、すぐに縫って閉じるよりも、しばらく開放管理をして、感染や壊死を落ち着かせてから閉じることもあります。状態によっては、陰圧閉鎖療法という、特殊な装置で傷に陰圧をかけながら肉芽形成を助ける方法が使われることもあります。

受診した方がよい傷

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

傷が深い、咬まれた可能性がある、膿や強いにおいがある、赤みや腫れが広がっている、痛がる、出血が止まりにくい、元気や食欲が落ちている、数日たっても小さくならない、同じ場所で何度も開く、しこりを伴っている。

特に猫の咬み傷は、表面の穴が小さくても皮膚の下で感染が広がることがあります。見た目だけで判断しない方がよい傷です。

まとめ

犬や猫の傷が治らないときは、傷そのものだけでなく、「なぜ治らないのか」を考える必要があります。感染があるのか、舐めているのか、かゆみがあるのか、皮膚病があるのか、ホルモンの病気があるのか、腫瘍が隠れていないか。

傷は、消毒して乾かせばよいものではありません。洗浄、保護、感染管理、痛みの管理、基礎疾患の確認を組み合わせて考えます。

小さく見える傷でも、犬や猫では毛の下や皮膚の奥で問題が進んでいることがあります。治りが悪い、繰り返す、じくじくする傷は、早めに動物病院で確認した方が安心です。

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