犬の胃拡張・胃捻転症候群(GDV)|吐こうとしても吐けない・お腹が張るときは救急

犬が吐こうとしても吐けない、急に落ち着きがなくなった、お腹が張ってきた。このような症状がある場合は、胃拡張・胃捻転症候群(GDV)の可能性があります。

短時間でショックや胃壁の壊死を起こすことがあるため、朝まで様子を見ることはできません。すぐに動物病院へ連絡してください。
緊急を要する飼い主様へ

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

胃拡張・胃捻転症候群は時間との勝負です

GDVは、胃にガスや液体、食物が急速にたまり、大きく膨らんだ胃がねじれる病気です。胃の入口と出口がふさがるため、ガスや内容物を吐き出せなくなります。

膨らんだ胃は太い血管や横隔膜を圧迫します。心臓に戻る血液が減って血圧が下がり、脳や腎臓、心臓への血流が不足します。胃壁や脾臓の血流も妨げられ、不整脈、組織の壊死、多臓器不全へ進行することがあります。

見逃してはいけない三つの症状

吐こうとしても吐けない

何度もえづいて吐く姿勢を取るのに、食べ物が出ません。白い泡や大量のよだれだけが出ることもあります。

落ち着かず何度も姿勢を変える

部屋を歩き回る、座ってもすぐ立つ、床を掘る、振り返って腹部を見るなど、強い腹痛や息苦しさを示す行動がみられます。

お腹が急に張る

肋骨の後ろ側が膨らみ、硬く感じられることがあります。ただし、胸の深い犬や肥満犬では外見から分かりにくいため、お腹が目立たなくてもGDVは否定できません。

進行すると、歯茎が白くなる、呼吸が速くなる、ぐったりする、倒れるといったショック症状が現れます。

胸の深い大型犬では特に注意します

グレート・デーン、ジャーマン・シェパード・ドッグ、スタンダード・プードルなど、胸の深い大型犬で多くみられます。

高齢、血縁犬に発症歴がある、早食い、一度に大量の食事を取ることなども、発症リスクとの関連が指摘されています。ただし、小型犬でも発症するため、犬種や体格だけでは除外できません。

胃の捻転には緊急手術が必要です

動物病院では、静脈点滴、酸素投与、鎮痛を行いながら、胃チューブや針などで胃にたまったガスを抜きます。診断には腹部X線検査が重要です。
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捻転が確認された場合は、原則として緊急手術を行います。胃を正常な位置へ戻し、胃壁や脾臓を確認します。壊死した部分があれば切除し、再発を防ぐため胃固定術を行います。手術後も不整脈や低血圧に注意した管理が必要です。
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日常管理だけでは完全に予防できません

食事を1日2~3回に分ける、早食いを防ぐ、食事の前後に激しい運動をさせないなどの管理が考えられます。ただし、これらを守っても発症を完全には防げません。

高リスク犬種や血縁犬に発症歴がある犬では、避妊・去勢手術などと同時に予防的胃固定術を行う選択肢があります。

GDVが疑われる症状が出たときは、食べすぎや胃もたれと判断せず、すぐに動物病院へ連絡してください。

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