FelineVMA Feline Oral Health and Dental Care Guidelines 2025を読んで

猫の歯科診療ガイドラインです。犬と共通する内容も多いですが、猫特有の歯科疾患や麻酔管理について勉強になりました。

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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

歯科予防は子猫の時期から

歯科予防指導は子猫の時期から始め、生涯続けることが推奨されています。

家庭での歯科ケアには、科学的根拠のある製品を使用し、猫が自発的に協力できる方法を取り入れます。

また、理想的な治療を一方的に押しつけず、猫の生活の質と飼い主の事情を考慮して治療方針を決定します。

歯周病の評価

歯肉炎は歯周組織の付着喪失を伴わない可逆的な炎症です。一方、歯周炎では歯槽骨などの支持組織が失われ、不可逆的な変化が起こります。

歯周病の評価には、次の分類や指標を使用します。

歯周病のステージ分類:PD0~PD4
根分岐部病変:F1~F3
歯垢指数(PI):0~3
歯肉炎指数(GI):0~3
歯の動揺度(M):0~3

歯周病は口腔全体で一括して評価するのではなく、歯ごとに評価します。

若齢性歯肉炎

生後6~8か月頃の猫に、著しい歯肉の発赤が認められる疾患です。

侵襲性の強い歯周炎や慢性歯肉口内炎に進行する可能性があるため、早期に全身麻酔下で歯周治療を行うことが推奨されています。

猫慢性歯肉口内炎

治療には尾側歯群抜歯または全顎抜歯が推奨されています。

切歯や犬歯周囲に炎症がなければ、これらを残す方法も選択できます。

治療効果の評価にはSDAI(Stomatitis Disease Activity Index)を利用できます。口腔内の炎症だけでなく、飼い主による評価や体重変化も考慮します。

歯の吸収病変

歯の吸収病変は3種類に分類されます。

Type 1:炎症性吸収。歯根膜腔が保たれており、完全抜歯が推奨されます。

Type 2:置換性吸収。歯根が骨に置き換わるため、歯冠を切除し、歯肉を縫合して閉鎖する方法が推奨されます。歯根は意図的に残します。

Type 3:Type 1とType 2が混在する病変です。歯根ごとの状態に応じて処置します。

歯の吸収病変では、歯科X線による分類が治療方針の決定に重要です。

猫に特徴的な口腔疾患

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)

人で報告されている疾患ですが、猫でも発生するのですね。特発性高カルシウム血症に対するビスホスホネート治療との関連が報告されています。

膝蓋骨骨折・歯科異常症候群

若齢猫で非外傷性の膝蓋骨骨折、乳歯遺残、永久歯埋伏などが認められます。

猫口腔顔面疼痛症候群(FOPS)

三叉神経が関係する神経障害性疼痛と考えられています。舌の自傷や顔をこする行動などが認められ、通常の鎮痛薬では十分な効果が得られない場合があります。抗けいれん薬が有効なことがあります。

麻酔前の管理

来院前投薬には、ガバペンチンやプレガバリンなどを検討します。

健康な猫では絶食時間は4~6時間とし、水は制限しません。

糖尿病猫では2~4時間と、さらに短い絶食時間が推奨されています。

歯科処置中の注意点

処置中の体位変更によって気管裂傷の危険性が高まります。

体位を変える際には、気管チューブを麻酔回路から外し、変更後にチューブの位置とカフの状態を再確認します。

また、長時間の開口によって上顎動脈が圧迫され、失明を含む神経障害が生じる可能性があります。

これは有名ですね。

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