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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
咳が続く場合、気管支炎や心臓病が多いのですが、高齢では「胸の中の腫瘍」が隠れていることがあります。薬で改善しない、だんだん悪化する、呼吸が荒い、食欲低下や体重減少を伴うこともあります。
咳で疑う代表的な腫瘍
代表的な腫瘍に肺腫瘍があります。肺にできた腫瘍が気管支を刺激したり、肺の一部を圧迫したりすると咳が出ます。犬では肺腺癌などの原発性肺腫瘍とともに、「他の腫瘍が肺に転移したもの」もあります。その例として、乳腺腫瘍、骨肉腫、血管肉腫などがあります。
肺腫瘍では、初期には無症状のこともあります。健康診断で偶然見つかることもありますが、進行すると咳、呼吸促迫、運動を嫌がる、元気消失などが出てきます。
また、縦隔腫瘍も重要です。心臓の前にはリンパ節、胸腺などがあります。この部分に腫瘍ができると、気管を圧迫して咳や呼吸困難を起こします。猫の縦隔型リンパ腫では、胸水がたまり、口を開けて呼吸するようになることもあります。
気管そのものにできる腫瘍もあります。空気の通り道が狭くなるため、ガーガーした咳やゼーゼー音が出ることがあります。「気管虚脱だと思っていたら腫瘍だった」というケースもあります。
「咳だけ」で始まることがあります
小型犬では僧帽弁閉鎖不全症、大型犬では喉頭麻痺や気管支疾患など、咳の原因が複数重なることもあります。そのため、「年齢的に心臓かな」で終わらせず、一度胸部レントゲンを撮る意味があります。
検査はどう進める?
まず聴診を行い、呼吸音や心雑音を確認します。そのうえで胸部レントゲン検査が重要になります。肺の腫瘤、転移、胸水、気管の圧迫など、多くの情報が得られます。
ただし、小さな病変はレントゲンで分からないこともあります。また、肺炎と腫瘍の区別が難しい場合もあります。そのため、必要に応じてCT検査を行います。
「年だから」「気管支炎だろう」で済ませず、一度しっかり胸を評価することが大切です。
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