「犬のしこりが柔らかい=脂肪腫?見分け方と注意すべきサイン

ホーム > 腫瘍まとめ > 種類 > 「犬のしこりが柔らかい=脂肪腫?見分け方と注意すべきサイン

執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)

まとめ
・柔らかいイコール脂肪腫ではない
・脂肪腫なら良性なので経過観察
・例外もあるので違和感があれば相談

1. 「柔らかいから大丈夫」に潜む罠

犬の体にしこりを見つけると、「これって大丈夫なの?」と不安になりますよね。実際、多くのしこりは「脂肪腫」と呼ばれる良性のものですが、中には注意が必要なケースもあります。特に見た目や触った感じだけで「問題ない」と判断するのは危険です。特に“柔らかいしこり=脂肪腫”と思われがちですが、実はそうとは限りません。

しこりを見つけたらどうすればいいかはこちら

脂肪腫ってよく目にしますし友人から聞くことも多いでしょう。良性腫瘍で、転移することはありません。通常はゆっくり大きくなります。似たような腫瘍に肥満細胞腫というものがあります。

脂肪腫と肥満細胞腫。片や良性腫瘍、片や悪性腫瘍、間違うとは思えないでしょう。ところがです。肥満細胞腫は、いろいろな外観のことがあります。細胞内にあるヒスタミンが放出されることにより内出血したり浮腫んだり。それにより脂肪腫と同じような触り心地のことがあります。検査すれば分かることが多いのですが。

2. 正体を見極める「細胞診」の重要性

その検査というのは細胞診(FNA)です。脂肪腫ですと成熟した脂肪細胞であったり明らかな脂肪滴が採取されます。一方、肥満細胞腫では、たくさんの肥満細胞腫が採取されますのでその違いは明らかです。そのため、見た目や触診だけで判断するのではなく、細胞診(FNA)で確認することが重要です。ただし、悪性腫瘍であっても、周囲の脂肪細胞を吸引したときには脂肪腫と判断してしまう事があります。触診所見との総合判断が必要ですね。

危険なサイン(すぐ受診するケース)
・かたい
・急に大きくなる
・皮膚や下の筋肉とくっついている

3. 脂肪腫が好む「場所」と「感触」

脂肪腫は皮膚表面ではなく皮下に発生します。そのため、皮膚の下でコロコロ動きます。つまり皮膚にも筋肉にもくっついていないのです。高齢の犬で太り気味の避妊メスに多い印象です。

4. 「急に大きくなった!」その意外な正体

良性腫瘍ですのでゆっくり大きくなる、とお伝えしましたが、急に大きくなったという話を聞くことがあります。良性腫瘍なのにおかしいですよね。検査で脂肪腫と確認された場合、筋間脂肪腫というものがあります。これは皮下ではなく筋肉の間から発生したもので、大きくなって筋肉と筋肉の間が急に裂けることにより腫瘍がヘルニアを起こした、と考えると合点がいきます。パンツの縫い目がほころび、座った途端にパンツが破けてお尻が見えた、って感じですね。

発生部位の分類としては、あとは腹腔内脂肪腫。お腹の中で大きくなりますので、すぐに気づくことはありません。大きくなって、お腹が張ってからX線検査で発見されることが多い。

5. 注意すべき「悪い脂肪」の仲間たち

それから、悪性の脂肪肉腫、良性と悪性の中間の浸潤性脂肪腫があります。浸潤性脂肪腫は良性ではあるものの周囲浸潤があるので通常の切除では再発します。

浸潤があればマージンが必要です。

6. 「切るか、待つか」治療の判断基準

脂肪腫の治療は切除が基本。ただし、良性腫瘍の切除は基準があります。基準としては、機能障害の危険性があること。つまり、大きくて歩きにくい、舐めて自壊のリスク。あとは、オーナーの強い希望。

手術適応でなければ、そのまま経過観察となります。定期的に大きさを測定します。脂肪腫は1か所とは限りませんので、発生する部位を覚えておく必要があります。

7. 経過観察中に「これ」が出たら要注意

脂肪腫と診断されていても、急に大きくなることがあります。それには他の腫瘍との併発のことがあります。ですから急速増大は要注意のサインです。また、コロコロ動かなくなると浸潤の可能性があります。脂肪腫のような触診初見でも、その一つが肥満細胞腫、ということもありましたのでチェックしていないものがあれば、脂肪腫だろうと決めつけずに診察を受けるのがいいですよ。

あと、良性であっても放射線治療を行ったという報告があります。小さくはなるようですが縮小するまで時間がかかるようです。やはり手術基本なのでおすすめしませんね。

脂肪腫の確認は細胞診です。細胞診の記事はこちら

▼ この腫瘍についてもっと知る
→【肥満細胞腫

▼ 親カテゴリへ戻る
→【腫瘍の種類と特徴

▼ 次に読むべきおすすめ
→【しこり・腫瘍の検査方法のまとめ

▼ 緩和ケアについて知りたい方へ
→【腫瘍の緩和ケア

▼ 専門診療のご案内
→【当院の腫瘍診察案内はこちら

▼病院の情報
→【診療案内アクセス

▼ お知らせを受け取りたい方へ
 → 【公式LINE】開院のお知らせを受け取る

お問い合わせ web予約 LINE登録 LINE登録
上部へスクロール