マスク(口輪)は、罰ではなく安全のための道具です。噛み癖のある犬だけでなく、すべての犬に役立ちます。
見る→おやつ、近づく→おやつ、鼻を入れる→おやつ、1秒だけ装着→おやつ、少しずつ時間を延ばす。
嫌がったら一つ前に戻ります。無理につけず、「マスクをつけても普段通り過ごせる」と覚えさせることが目標です。
マスクトレーニングは、すべての犬に役立ちます
マスクトレーニングは、噛み癖のある犬だけのものではありません。すべての犬に役立つトレーニングです。どんなに穏やかな犬でも、強い痛みや恐怖があると、防御反応として噛んでしまうことがあります。
交通事故、けが、関節の痛み、耳の痛み、救急受診、爪切り、採血、傷の処置。こうした場面では、性格に関係なく、犬が自分を守ろうとすることがあります。
普段からマスクに慣れていれば、無理に押さえつける場面を減らせます。診察や処置を安全に行いやすくなり、犬自身の怖さを減らせることもあります。
マスクは嫌なことと結びつけない
マスクトレーニングで大切なのは、いきなり装着しないことです。マスクを見ると良いことが起こる。まずは、そう覚えさせます。
床にマスクを置く。
見たらおやつ。
近づいたらおやつ。
匂いを嗅いだらおやつ。
次に、マスクの中におやつを入れます。犬が自分から鼻を入れるのを待ちます。顔を押し込んではいけません。自分から鼻を入れることが大切です。
慣れてきたら、1秒だけつける。
すぐ外して、おやつ。
次は2秒。
次は5秒。
少しずつ時間を伸ばします。
嫌がったら、一つ前に戻ります
犬が嫌がったら、失敗ではありません。進むのが少し早かっただけです。
顔をそむける。
後ずさりする。
おやつを食べなくなる。
固まる。
前足で外そうとする。
こうした様子があれば、一つ前の段階に戻ります。
今日は見るだけ。
今日は鼻を入れるだけ。
今日は1秒だけ。
小さな成功で終わることが大切です。
マスクをつけたまま、楽しいことをする
短時間つけられるようになったら、次は日常生活の中で慣らします。
家の中を歩く。
おやつ探しをする。
短い散歩に行く。
病院に行かない日に、マスクをつけて少し外に出る。
「マスクをつける=嫌なことが始まる」ではなく、「マスクをつけても普通に楽しいことがある」と覚えてもらいます。この段階を飛ばして、動物病院や爪切りの時だけ使うと、また嫌な印象がついてしまいます。
猫ではマスクトレーニングは一般的ではありません
猫では、犬のようなマスクトレーニングは一般的ではありません。猫の場合は、マスクよりもキャリートレーニング、タオルに慣れる練習、体を触られる練習の方が大切です。
猫は環境の変化そのものに強いストレスを感じる動物です。そのため、無理に押さえるよりも、キャリーのまま診察する、タオルで安心できる場所を作る、犬と距離を取る、必要に応じて来院前の薬を使うなどの工夫を優先します。
マスクは失敗の印ではありません
マスクをつけることは、問題行動の証拠ではありません。シートベルトやチャイルドシートと同じように、安全のための準備です。
「うちの子は噛まないから必要ない」と考えるより、「もしもの時にみんなを守れるようにしておく」と考える方が、犬にとっても人にとっても安心です。
マスクトレーニングは、犬を怖がらせるための練習ではありません。
犬が怖い思いをしないために、あらかじめできる練習です。