ホーム > 腫瘍まとめ > 症状 > 「様子を見ましょう」と言われたしこりが大きくなってきたら。「再受診」のタイミング
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
「前は小さかったから大丈夫」
「先生に様子見って言われたし……」
愛犬や愛猫の体に小さなしこりを見つけたとき、一度受診して「様子を見ましょう」と言われることは少なくありません。しかし、そのしこりが少しずつ、あるいは急に大きくなってきたとしたら、それは体からの重要なサインかもしれません。今回は、獣医師として、飼い主さんに知っておいてほしい「様子見」の本当の意味と、再受診すべき基準をお伝えします。
1. 「様子を見る」には、実は2つの意味があります
動物病院で言われる「様子見」には、実は正反対の2つの意味が含まれています。
• 「おそらく良性(脂肪腫など)なので、急いで処置しなくて良い」という安心の様子見。
• 「今は小さすぎて正体がわからないけれど、悪性の可能性もゼロではない」という警戒の様子見。
どちらの場合も、前提となっているのは「今のサイズと状態が維持されるなら」という条件です。大きさが変わった時点で、その前提はリセットされると考えてください。
2. 「再受診」を検討すべき3つのサイン
以下の変化を感じたら、「次の検診まで待とう」と思わずに早めに相談してください。
• サイズの変化: 1ヶ月前より明らかに大きくなった、または1cmを超えてきた。
• 感触の変化: 以前より硬くなった、根を張るように動かなくなった。
• 見た目の変化: 赤みが出てきた、表面がじゅくじゅくしてきた、熱を持っている。
特に、短期間(数週間)でサイズが変わる場合は、細胞の増殖スピードが速い「悪性腫瘍(がん)」の可能性を否定できません。
3. 「あの時行っておけば」と後悔しないために
腫瘍診療において、一番もったいないのは「もっと早く相談していれば、もっと楽に治せたのに」というケースです。
小さいうちなら局所麻酔の手術で済んだものが、大きくなると周囲の筋肉まで切除が必要になったり、転移のリスクが高まったりします。「心配しすぎかな?」と思う必要はありません。その「心配」こそが、愛犬・愛猫の命を守る唯一の武器です。
4. 診察でできること
「大きくなってきたけれど、また同じことを言われたらどうしよう」と不安な方もいらっしゃるかもしれません。私どもでは、
• 細胞診(針を刺して細胞を調べる検査)による再評価
• 今後の増大スピードの予測とリスク管理
• 手術が必要な場合の具体的なシミュレーション
など、納得いただける説明を心がけます。
まとめ
「様子を見ましょう」は「何もしなくていい」という意味ではありません。飼い主さんにしか気づけない「小さな変化」を、ぜひ私たちに教えてください。その一歩が、これからの穏やかな日常を守ることに繋がります。
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獣医師 圓尾真理
獣医師 圓尾拓也
日本獣医がん学会 腫瘍科認定医1種(I種)
放射線取扱主任者1種
博士(獣医学)
エビデンスにもとづいた情報発信に努めます。
