WSAVAのワクチンガイドラインを読んで、特に印象に残った点をまとめます。
▼ 現在地:ガイドラインを読む > 本記事
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
子犬は16週齢以降まで、さらに6か月齢頃に再接種
子犬では母体由来抗体(MDA)がワクチンを邪魔することがあるため、6~8週齢頃から接種を始め、16週齢以降まで続けます。
さらに、16週齢でも十分な免疫がつかなかった少数例をカバーするため、26週齢、約6か月齢での再接種が勧められています。その後は3歳頃、その後は3年より頻回には接種しません。
日本ではワクチンは1年ごととされてますので、それに従うか抗体検査で確認することが望ましいと考えます。
16週齢を超えて初めて接種する犬では、MLV(弱毒生ワクチン)や組換えワクチンなら、1回でも多くの犬で免疫が成立すると考えられています。
レプトスピラは地域によってコアワクチンになる
2024年版では、犬のレプトスピラ症が発生していて、その地域で問題となる血清群をカバーするワクチンが利用できる場合には、レプトスピラワクチンをコアとして扱うことが推奨されています。日本でもレプトスピラ症は発生しているため、地域や生活環境に応じて積極的に接種を検討するワクチンです。
初回は2~4週間隔で2回、その後は毎年接種します。
猫では動物病院へ行くストレスも接種率に影響
英国の調査では、成猫でワクチンを接種しない理由として、「動物病院へ連れて行くストレスを避けたい」という回答が約22%ありました。
猫では、来院ストレスを減らすことが大切ですね。
猫の3種混合は生活環境で接種間隔を変える
完全室内飼育など低リスクの猫では、3年より頻回に接種する必要はないとされています。が日本のワクチンは毎年接種なので、抗体価のチェックが必要かもしれません。
一方、ペットホテル、多頭飼育、他の猫との接触が多い猫では、FHVやFCVを意識して毎年接種することも考慮します。
「猫の3種は一律3年ごと」ではなく、生活環境で決めるという考え方です。
FIVワクチンは日本では使えるが慎重に考える
FIVワクチンは日本でも利用できますが、効果にはばらつきがあり、接種後の抗体が感染診断に影響する問題もあります。
FIV予防では、ワクチンよりも自由外出を避け、感染猫から咬まれる機会を減らすことが基本です。
小型犬はワクチン副反応に注意
小型犬ほどワクチン接種後の有害事象が多く、1回の来院で複数のワクチンを接種すると、副反応リスクが上がることが報告されています。
約500万頭の研究では、ダックスフンド、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグなどで急性副反応が多く、特に5kg未満の小型犬で複数ワクチンを同時接種した場合に注意が必要でした。
ただし、小型犬だからといって半分に減らすことは推奨されていません。
必要なワクチンを、必要な時期に
今回のガイドラインでは、毎年同じワクチンを打つのではなく、年齢、地域、生活環境、副反応リスクを考えて接種するという考え方がより明確になっていました。
ワクチンも、「たくさん打つ」より「必要なものを適切な時期に打つ」時代になってきたのだと思います。
▼ ガイドラインを読む に戻る
