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執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
犬や猫で排便しづらい状態が続くときは、単なる便秘だけでなく、直腸や骨盤の周囲にできた腫瘍が便の通り道を狭くしている可能性があります。細い便が続く、何度もいきむ、便に血がつく、お尻周りにしこりがある、ということがあります。
排便困難は「便秘」だけではありません
犬や猫で「便が出にくい」「何度もトイレに行く」「踏ん張るけれど少ししか出ない」という症状があると、まず便秘を考えるかもしれません。が、思ったよりも便秘は少ないです。食べてないから便が溜まっていないこともありますし、高齢の犬や猫では、直腸や骨盤の周囲にできた腫瘍が便の通り道を狭くし、排便困難を起こしていることもあります。
便秘と排便困難の違い
便秘は「便が硬い」「腸の動きが悪い」状態です。一方、排便困難は「出したいのに出せない」状態です。何度もしゃがむ、長時間いきむ、細い便しか出ない、少量ずつしか出ない、排便時に痛そうにする、便に血がつく。このような症状が続く場合、物理的に通り道が狭くなっている可能性があります。
腫瘍が便の通り道を狭くすることがあります
腰骨は、内臓を守り体重を支えるためボックスになっています。その中を腸が通っているので、腫瘍ができると、便の通り道が狭くなります。原因になる腫瘍としては、肛門周囲腺腫、肛門嚢アポクリン腺癌、直腸腫瘍、前立腺腫瘍、骨盤内腫瘍、リンパ節転移などがあります。
細い便、平らな便が続くときは注意が必要です
特に注意したいのは、「便が細くなった、平らになった」という変化です。細い便は一時的な腸炎でも見られますが、数週間以上続く、徐々に悪化する、食欲低下や体重減少を伴う、高齢である、といった場合には画像検査まで考えます。
踏ん張っている原因が尿のこともあります
また、「踏ん張っている=便秘」とは限りません。犬や猫では排尿と排便の姿勢が似ているため、実際には尿が出ていないことがあります。特に猫の尿道閉塞は緊急疾患です。「便が出ないと思っていたら、実は尿が出ていなかった」ということもあります。
検査では原因の場所を確認します
診察では、まず本当に便秘なのか、どこで通り道が狭くなっているのかを整理します。触診や直腸検査に加え、レントゲンや超音波検査を行い、必要に応じてCT検査や細胞診・生検を組み合わせます。骨盤の中は外から見えにくいため、画像検査で初めて問題が分かることも少なくありません。
便が出にくい状態が続くときは受診を
排便困難は、「年齢のせいかな」「便秘かな」で終わってしまいやすい症状です。しかし、背景に腫瘍が隠れていることがあります。何度もいきむ、便が細い、排便に時間がかかる、お尻周りにしこりがある。このような変化が続く場合は、一度しっかり確認してもらうことをおすすめします。
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