犬や猫が夜に眠れない、夜中に鳴く、部屋を歩き回る。高齢になるとよくあること、と思われることがあります。たしかに、年をとると睡眠のリズムは変わります。けれど、夜眠れない背景には、痛み、呼吸の苦しさ、内臓の病気、認知機能の低下、不安、生活リズムの乱れなどが隠れていることがあります。
夜鳴きや徘徊は、犬や猫からの小さなサインであることがあります。
まず確認したいのは、痛みや病気がないかです
夜になると落ち着かない子の中には、体のどこかに痛みや不快感があることがあります。関節が痛い、腰が痛い、寝返りがつらい、皮膚がかゆい、排尿や排便が気になる。昼間は何とか過ごしていても、静かな夜になると不快感が目立つことがあります。
特に高齢の犬や猫では、慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、心臓病、呼吸器の病気、腫瘍、関節炎などが関係することがあります。食欲はあるのに痩せてきた、水をよく飲む、尿が増えた、呼吸が速い、横になれない、触ると嫌がる。このような変化がある場合は、夜鳴きだけの問題として見ない方がよいです。
呼吸が苦しそう、口を開けて呼吸する、横になれず座ったまま苦しそうにしている、ぐったりしている、けいれんがある場合は、翌朝まで様子を見るのではなく、夜間救急を含めて早めの受診を考えてください。
高齢の犬や猫では、認知機能の低下もあります
高齢になると、昼夜のリズムが崩れることがあります。昼間はよく寝ているのに、夜になると歩き回る。部屋の隅に入って戻れない。同じ場所をぐるぐる回る。何もない方を見て鳴く。呼んでも反応が薄い。こうした様子がある場合、認知機能不全、いわゆる認知症に近い状態が関係していることがあります。
この場合、叱っても改善しません。本人もなぜ不安なのか、どこにいるのか、よく分からなくなっていることがあります。まずは危なくない環境を作り、夜間にぶつからないようにし、滑りにくい床にして、水やトイレに行きやすくしてあげることが大切です。
環境を整えるだけで楽になることも
夜間の不安が強い子では、部屋を真っ暗にしない方が落ち着くことがあります。小さな常夜灯をつける、寝床の近くに水を置く、トイレまでの道を分かりやすくする、段差を減らす。これだけでも夜の不安が軽くなることがあります。
関節や腰がつらい子では、硬い床や薄いベッドが負担になることがあります。体圧が分散できるマットや、立ち上がりやすい寝床に変えることで、途中で目覚める回数が減ることもあります。床が滑る場合は、マットを敷くだけでも歩きやすくなります。
また、日中にほとんど刺激がないと、夜に覚醒しやすくなります。無理のない散歩、日光を浴びる時間、においを使った遊び、短い声かけやふれあいは、体内時計を整える助けになります。
要求鳴きと病気の夜鳴きは分けて考えます
夜中に鳴いたとき、ごはんをあげる、何度も声をかける、すぐに遊ぶ。これを繰り返すと、「鳴けば飼い主さんが起きてくれる」と覚えてしまうことがあります。このような要求鳴きでは、対応の仕方を見直す必要があります。
ただし、すべてを無視すればよいわけではありません。痛み、呼吸の苦しさ、認知機能の低下、不安が原因の場合、無視は解決になりません。まず病気や痛みがないかを確認し、そのうえで行動の問題として考える順番が大切です。
薬やサプリメントは、原因を見てから考えます
認知機能の低下、不安、痛み、かゆみ、内臓疾患など、原因によって使う薬は変わります。睡眠を助ける薬、痛み止め、かゆみを抑える薬、不安を和らげる薬、内臓病の治療薬など、選択肢はありますが、「夜鳴きだから眠らせる薬」と単純に考えるものではありません。
特に高齢の犬や猫では、腎臓や肝臓、心臓の状態によって使える薬が変わります。人の睡眠薬やサプリメントを使うことは避けてください。
夜眠れないことは、ご家族にとっても大きな負担です
犬や猫の夜鳴きが続くと、飼い主さんも眠れなくなります。疲れてしまい、つい強く叱ってしまったり、「もう限界かもしれない」と感じたりすることもあります。それは決して珍しいことではありません。
だからこそ、早めに相談してよい問題です。夜眠れない、夜鳴きが続く、徘徊する、寝床で落ち着けない。そうした変化があるときは、年齢のせいだけにせず、痛みや病気、不安、認知機能の低下を一つずつ確認していきましょう。
犬や猫が安心して眠れることは、生活の質を守ることです。そして、家族が一緒に穏やかに暮らしていくためにも、とても大切なことです。
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