猫アレルギーの主な原因は毛そのものではなく、Fel d 1などのタンパク質です。グルーミングによってアレルゲンは被毛や環境中へ広がります。一方、毛づくろいできない猫では、皮脂やフケとともに体表へ蓄積する可能性があります。現時点では十分な研究はなく、仮説として考える必要があります。
執筆:圓尾 拓也(腫瘍科認定医・獣医学博士)
猫アレルギーの原因は「毛」ではない
猫アレルギーの原因は、猫の「毛」そのものではありません。主な原因は、皮脂腺や唾液腺などから分泌されるタンパク質です。その代表が「Fel d 1」で、猫アレルギーの人の多くがこのタンパク質に反応します。
グルーミングでアレルゲンは全身に広がる
猫は頻繁にグルーミング(毛づくろい)をします。猫が体を舐めると、唾液に含まれるアレルゲンだけでなく、皮膚表面の皮脂も被毛全体へ広がります。被毛についた唾液や皮脂が乾燥すると、アレルゲンを含む細かなフケや粒子となって空気中へ飛散し、カーペット、ソファ、寝具、衣類などにも付着します。
つまり、グルーミングにはアレルゲンを「全身と環境へ広げる」作用があると考えられます。
では、病気などでグルーミングできない猫ではどうでしょうか。
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毛づくろいできない猫では体表にたまる?
高齢、肥満、関節炎、慢性疾患、重い口内炎などでは、猫が十分に毛づくろいできなくなることがあります。特に背中や腰にフケが増え、被毛が脂っぽく固まっている猫を診察することがあります。
毛づくろいをしなくても皮脂の分泌が止まるわけではありません。そのため、皮脂、古い角質、抜け毛などが被毛の根元に蓄積していきます。Fel d 1は皮脂腺からも分泌されるため、このような猫では、アレルゲンを含んだ皮脂やフケが体表に多く残っている可能性があります。
私自身、重い口内炎などでグルーミングが十分できていない猫を診察すると、触ったあとに目が痒いと感じます。
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触ったときに痒くなる理由
ここから考えると、よく毛づくろいする猫ではアレルゲンが「広く薄く環境へ」拡散し、毛づくろいできない猫では「体表に局所的に蓄積」する、という違いがあるのかもしれません。
猫アレルギーのある人では、Fel d 1などが皮膚に付着すると、IgEを介して肥満細胞が活性化し、ヒスタミンなどが放出されます。その結果、痒み、赤み、膨疹などが起こります。
そのため、グルーミングする猫では空気中に飛散したアレルゲンによる曝露が問題になりやすく、グルーミングできない猫では、撫でたり抱いたりした際に皮脂やフケへ直接触れることで強く痒くなる可能性があります。
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ただし、「グルーミングできない猫の方が体表のFel d 1濃度が高く、人の痒みを強くする」と直接示した研究は十分ではありません。
「広げる猫」と「ため込む猫」という仮説
現時点では、
毛づくろいする猫は、アレルゲンを広げる。毛づくろいできない猫は、アレルゲンをため込む可能性がある。
という仮説として考えるのが妥当かもしれません。
